経済産業省は2日、原油価格低迷を受けて資金不足の産油国や海外の中堅・中小企業が資産の売却を進める中、石油・天然ガス開発を手掛ける日本企業にとって海外資源を買収する「絶好の機会」だとする2016年度版エネルギー白書を公表した。

  白書では、「企業買収や資産買収の取り組みを加速させ、中核的企業の形成に官民で連携して本格的に取り組んでいくべきだ」と明記。日本最大の開発会社である国際石油開発帝石(INPEX)が中核企業として欧米石油メジャーと競争していくためには、「メジャー級の生産規模の拡大が不可欠」とし、生産規模を現状の約2倍となる日量100万バレル超に増やすために政策面で支援する方針を示した。

  政府は14年に策定したエネルギー基本計画で、石油・天然ガスの自主開発比率を15年3月末の24.7%から、30年までに40%以上へ引き上げる目標を掲げている。これに合わせて16年には石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)法を改正。これまで対象外だった海外の開発企業の買収も支援に含めることとし、日本の開発企業への支援体制を強化している。

  国際エネルギー機関(IEA)によると、原油価格の下落に伴い世界の上流(開発・生産)部門投資は15年度、16年度に連続して前年比で2割以上減少、新規投資は落ち込んだ。しかし、今年度は国内の石油元売りや総合商社など石油・ガス開発を手掛ける各社で投資縮小の動きが一段落し始め、三井物産やINPEXなど一部企業で開発投資を増やす動きも出ている。

日本、緒につく

  電力やガス市場においては、先行して自由化した欧米企業が、事業環境の変化に対応するため、企業の合併・買収(M&A)やベンチャー企業への投資により新技術の取り込みを進めている。白書によると、10年1月から17年3月までのM&A件数は、仏ガス会社エンジーが36件、フランス電力会社(EDF)は19件、イタリア電力公社(ENEL)は10件に達する一方、東京ガスは5件、関西電力は3件にとどまる。

  欧米の電力・ガス会社が数十億から百数十億円規模をベンチャーキャピタル(VC)に投資する中、東京電力ホールディングスは17年3月にエネルギー関連のベンチャーファンドへ約5.5億円を投資し、新技術の獲得や海外事業展開の可能性を検討し始めた。白書では「日本企業によるベンチャーキャピタルなどを通じた技術の発掘・取り込みに向けた動きはまだ緒についたばかり」と結論づけた。

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