日本銀行の原田泰審議委員は1日、異次元緩和の出口で日銀の財務が悪化し債務超過になったとしても、「一時的であり、別に問題もないし、資本注入も必要ではない」と述べた。

  同日午後、岐阜市内で会見した。原田氏は「日銀は利益を最大化することを目的としている組織ではないので、利益を考えて金融政策を行うわけではない」と言明。日銀が複数年度の赤字に陥り、債務超過となったとしても「理論的に考えても現実的に考えても、何も心配する必要はない」と話した。

  黒田東彦総裁が主導する異次元の金融緩和政策に対し、出口時点で日銀の収益が赤字になれば通貨の信認が失われ、ハイパーインフレが起こる可能性があるとの批判が出ている。原田氏は、政策委員会の多数派の一員として反論した格好だ。

  原田委員は同日午前の講演で、日銀が「赤字になる可能性がある」としながらも、中央銀行には通貨発行益があるため、「長期的に損失を負うことによる危険など存在しない」と説明。「中央銀行の損益が赤字かどうかを気にしてお札を使う人がいるだろうか」と述べていた。午後の会見では、発言は「債務超過と言い換えても同じだ」と話した。

  講演では、「大胆な金融緩和政策は素晴らしい成果を上げている」と自賛。すでに2.8%となった失業率がさらに低下することで、物価も上昇することは「間違いない」と語った。

岩石理論

  金融政策への批判には、「急にハイパーインフレになる、金利が暴騰する、円が暴落するから金融緩和はしない方がよいという議論」だと反論した。批判は、大きな岩が転がり出すと止まらないため、坂道をふさぐ岩は取り除かない方がよいと主張する「岩石理論」だと述べた。

  「物価が下落した方がよいと考えるデフレ派かと言われて、そうだと答える人は現在いない。いまや皆、物価を引き上げ、景気をよくすることを望むリフレ派だ」とも強調。「だからこそ、日銀は金融緩和政策を続けている」と語った。

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