英総選挙が6月8日に迫る中、野党・労働党がじりじりと与党・保守党を追い上げている状況を世論調査が示唆している。メイ首相は依然として優位にあるものの、産業国有化や外交政策の抜本見直しを主張する労働党政権が誕生する可能性はある。コービン党首のマニフェスト(選挙公約)は以下の通り。

税制

  所得が8万ポンド(約1140万円)を超える高額所得者を対象に増税するほか、国営医療制度(NHS)に年60億ポンドを追加注入する計画の一環で民間の健康保険に課税する。法人税率 を現在の19%から、2020年には26%に引き上げる。

BREXIT

  コービン党首は欧州連合(EU)離脱のメリットを巡り、労働党内にさまざまな見方が保守党以上にあることを認識し、党としての戦略策定が困難と分かっている。労働党はマニフェストで昨年6月の英国民投票の結果を「受け入れる」としており、コービン氏は国民投票の再実施はないと話している。

  ただし同党は、メイ首相の交渉戦略を破棄すると約束。EUとの協議で単一市場や関税同盟への参加を優先する方針だ。だが、達成は厳しい。市場アクセスを維持したいなら英国は労働者の自由な移動を引き続き認めるべきだとEUが主張するのに対し、同党はそうした移動は終わらせるとしているからだ。

  労働党はまた、「悪い合意なら、合意なしの方がまし」とするメイ首相の見方を拒否。合意なしは「考えられる限り最悪の」選択肢だとして、政権をとれば移行期の設定を交渉する方針だ。もちろんEU側の賛同が必要になるが、コービン氏は英在住のEU市民の権利は直ちに保証する提案をしており、心証は良いだろう。

公的支出

  労働党は1998年の導入時から物議を醸している大学授業料の廃止をうたっている。少なくとも過去30年で最大の公営住宅整備計画や民間の賃貸料値上げ抑止策の導入も主張。と同時に、5年以内の財政赤字解消を目指す。

  郵便事業会社ロイヤル・メールや鉄道会社を再国有化する方針も打ち出している。

移民

  移民を10万人未満に抑制すると繰り返す保守党と異なり、コービン氏は数値目標は示していない。マニフェストでは「公正なルールと合理的な移民管理」を約束。賃金抑制を目的に移民を活用する企業は取り締まるとしている。

テロ

  イラクやアフガニスタン、リビアでの紛争への英関与に反対し、平和活動家としての経歴が長いコービン氏はこうした海外紛争と英国に対する攻撃を結び付けている。「テロリスト非難はしかりだが、その原因について誠実に向き合う必要がある」と発言。テロとの戦いに追加資金を約束するよりも現行予算を再配分し、過激化防止や更生プログラム、地域の治安強化にリソースを回すという。

原題:Corbyn’s Britain: What Labour Is Proposing as Tory Lead Narrows (抜粋)

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