ソフトバンク:負債の「呪縛解消」、10兆円ファンド-野村が社債推奨

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  • 10兆円規模のファンド発足受け、CDSが2年ぶり水準に低下
  • 直接買収が減り財務負担軽減、収益源も拡大との見方

ソフトバンクグループが10兆円規模の巨大ファンドを設立したことで、今後は買収資金の調達負担が減るとみて、野村証券とBNPパリバ証券は同社債を推奨している。将来の収益源拡大も好材料だという。

  ソフトバンクは20日、10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の発足を発表。今後の企業の合併・買収(M&A)戦略は、同社が資金調達して直接、企業を買収する形よりも、主にSVFを通じて行われる見通しで、資金負担が軽減される。同社の5年物CDS(社債保証コスト)は26日、約2年ぶりの水準となる120.6ベーシスポイント(bp)まで低下した。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、「金の玉子を産むガチョウが飛ぶにはお金がいるが、SVF設立で資金調達の呪縛は半分なくなる」とし、買収戦略を続けても「新規の資金調達が増えていくわけではない」と指摘。社債を含めたクレジット面で好影響があるとの見方を示した。同社は負債が大きいものの、「キャッシュフローの割にスプレッドが圧倒的に乗っているので、ソフトバンク債は投資推奨している」と語った。

  野村証券の魚本敏宏チーフクレジットストラテジストは、ソフトバンクは通信料に代わる新たな収益源を中長期的に必要としており、SVF設立で「大型投資ができる構えができたことはポジティブだ」と指摘した。また、同社のスプレッドが厚い原因の一つに「格付会社が株式の含み益をカウントしていない」こともあり、実際の信用力はより高い可能性があるとの見方を示した。野村証は投資判断でクレジットリスクの積み増しを推奨している。

  同社の広報担当は、SVF設立が同社の信用力に与える影響について、コメントを控えた。

  大型買収を繰り返してきた同社は有利子負債が3月末で、14兆8500億円に達するなど財務体質が悪化し、信用力は低い。米格付け会社のS&Pグローバル・レーティングスとムーディーズ・インベスターズ・サービスによる格付けはともに投機的等級。22年償還債の対国債スプレッドは177bpと、国内社債の平均36bp(バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータ)を大きく上回っている。

  SVFはソフトバンクのほか、サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)、アブダビ首長国のムバダラ開発公社、米アップル、クアルコム、台湾のフォックスコン、日本のシャープの出資で発足。今後6カ月で1000億ドル(約11兆円)規模まで上積みする計画だ。最先端のテクノロジ-開発を担う世界の企業に投資する。
  
  

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