円全面高、欧州不安で対欧州通貨中心に買い強まる-ドル・円は110円台

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  • 前日のドラギECB総裁発言や欧州選挙リスクでユーロやポンド下落
  • 米指標良ければドル・円サポートも米政治不透明感も重し-CIBC

30日の東京外国為替市場では円が全面高。前日の金融緩和継続を示唆するドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁発言や、欧州の選挙リスクなどを手掛かりに対欧州通貨を中心に円買いが強まった。ドル・円は1ドル=111円を割り込み、18日以来の安値を付けた。

  午後3時48分現在のドル・円は前日比0.4%安の110円86銭。英米市場が休場の中、前日の海外市場では111円台前半で小動きだったが、この日の東京市場ではユーロ・円などクロス円の売りに押され、一時110円78銭まで値を切り下げた。

  CIBC証券金融商品部の春木康部長は、ドル・円は111円を割り込んだが、クロス円が主導している面もあり、110円台は支えられやすい可能性があると指摘。「今晩から発表される米経済指標もそれなりに良い結果が見込まれており、ドル・円にとってはサポーティブ。ただ、引き続きトランプ政権への不透明感が重しになるとみられる」と話した。

  ユーロ・円相場は1ユーロ=124円台前半から一時123円16銭と18日以来の水準まで下落。ドラギ総裁は29日の欧州議会の経済金融委員会での証言で、ユーロ圏経済はなお異例の金融政策による支援が必要との考えを示した。一方、独紙ビルトは、ギリシャ政府が債権者が債務軽減で合意できない場合、次回分の救済融資約70億ユーロを場合によっては受け取らない選択肢を準備していると報じた。

  外為どっとコム総研の神田卓也取締役調査部長は、イタリアで前倒し選挙の可能性が濃厚となってきたことや英総選挙への警戒など「複合要因で欧州リスクという感じになっている」と説明。ギリシャのネタなどは今更ユーロを売るほどの話ではなく、「このネタだけで円高方向に一方的に突っ走るのも難しいと思うが、休み明けのロンドンの反応は注目」と話した。

  ユーロは対ドルでも1ユーロ=1.11ドル台後半から1.11ドル台前半まで下落。午後には一段安となり、一時1.1110ドルと19日以来の安値を更新した。

イタリアの総選挙前倒しの可能性についてはこちらをご覧ください。

  ポンド・円は一時0.7%安の1ポンド=141円84銭と5週間ぶり安値まで下落。来月8日に総選挙を控えて、世論調査で英与党保守党のリードが縮小している。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、英国は与党圧勝を前提に欧州連合(EU)離脱という「ばくち」を打っているため、「勝っても圧勝しなければメイ首相でいいのかという話になる」とし、「ハードブレクジット(強硬な離脱)への信任という話になりかねない」と語った。

米経済指標

  ブルームバーグのエコノミスト調査によると、30日発表の4月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増が見込まれている。3月は横ばい。米金融当局がインフレ目標の基準とするPCE価格指数は前年同月比1.7%上昇と3月の同1.8%上昇からやや鈍化すると予想されている。

  上田ハーロー外貨保証金事業部の小野直人ストラテジストは、個人消費の持ち直しを示す結果になれば、6月の追加利上げ観測を支援するが、投資家の関心はその後の利上げスピードに移りつつあるとし、「それを見極めるにはまだ材料が不足」と指摘。「ロシアゲート疑惑に対する不透明感が残っていることも、ドル・円の上値を抑制しそう」と予想した。

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