ドラギECB総裁:米国の保護主義を憂慮-ユーロ圏は景気加速

  • 米国が宣言しているネオ保護主義的なスタンスは憂慮すべき問題
  • ユーロ圏景気の上昇勢いはますます着実になり、広がりつつある

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も、米国に対し貿易で誤った道に進みかねないと指摘する欧州当局者の1人に加わった。

  ドラギ総裁は29日にブリュッセルにある欧州議会での証言で、ユーロ圏の4年にわたる景気回復を強調した上で、今の主要なリスクは外部要因だと指摘。「米国が宣言しているネオ保護主義的なスタンスは、確かに憂慮すべき問題だ」と述べた。

  総裁はさらに、「過去15ー20年で起きたのは、自由貿易とグローバル化が巨大な恩恵をもたらすと同時にそれにあずかれない人も出てきたことだ。このプロセスに参加した全員が利点を共有するためにもっとうまく行動する必要がある」と語った。

  ドイツのメルケル首相は前日、第二次大戦後に築かれてきた米欧の信頼関係が「ある程度終わった」と述べ、トランプ政権の下で米国と貿易相手国の関係が大きくシフトする可能性を示唆していた。

  JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、ビンセント・ユビンス氏は「ドラギ総裁の懸念は主要7カ国首脳会議(G7サミット)後のメルケル首相発言を踏襲したものかもしれない」と述べ、「世界の状況は欧州にとって重要だが、地域的要因が今の域内総生産(GDP)のけん引役になる中、経済の勢いは自律的なようだ」と指摘した。

  ドラギ総裁は国際情勢への懸念とは対照的に、ユーロ圏については明るい見通しを示し、「景気上昇の勢いはますます着実になり、広がりつつある」と指摘した。こうした発言を受けてECBがついに2兆3000億ユーロ(約285兆円)の債券購入プログラムの巻き戻しに着手するとの臆測が高まったものの、ドラギ総裁はその憶測に拍車を掛けることはしなかったため、6月8日に予定される次回政策委員会で大きな動きに出る緊急性は乏しいことが示唆された。

  同総裁は「現状のように活用が不十分な資源が再び吸収され、インフレ率が中期的に2%に近い水準に持続的に安定するには、フォワードガイダンスを含めた金融政策による異例な規模の支援がなお必要だと、われわれは引き続き強く確信している」と述べた。

  

原題:Draghi Worries About U.S. Protectionism as Euro Area Strengthens(抜粋)

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