ドル111円前半、米連銀総裁発言が支え-北ミサイルへの反応は限定的

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  • ドル・円は朝方111円17銭付けた後111円47銭まで上昇する場面も
  • 6月の米利上げもおおむね織り込まれ、既定路線化-ソニーFH

東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=111円台前半。サンフランシスコ連銀総裁の金融引き締めに関する発言で強含む場面も見られたが、海外市場の一部が休場で見送り姿勢が強く、小幅な値動きにとどまった。早朝の北朝鮮による弾道ミサイル発射に対する反応も限定的だった。

  29日午後4時18分現在のドル・円は前週末比ほぼ変わらずの111円32銭。北朝鮮のニュースを受けて朝方に111円17銭を付けた後、水準を切り上げ、一時111円47銭まで値を戻した。午後にかけては伸び悩み。前週末26日の海外市場では一時110円88銭まで円高・ドル安が進行していた。

  ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部の石川久美子為替アナリストは、「きょうは休みの国が多い。目立った材料がなければ基本的にはドル・円に関してはもみ合いの範囲。北朝鮮ネタは目立った材料にはなってない」と分析。「6月の米利上げもおおむね織り込まれてしまっていて、米経済指標が多少下振れしたところでもう既定路線化されてしまっている」と述べた。

  29日は米国がメモリアルデーの祝日で株式・債券市場が休場のほか、中国、英国も祝日で休場。

  オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)取引に基づいて推計される6月13、14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は29日時点で93.4%程度に達している。6月2日には5月の米雇用統計が発表される。ブルームバーグ調査によると、非農業部門雇用者数は前月比18万5000人増加が見込まれている。4月は21万1000人増加だった。

  サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は29日、シンガポールで講演し、経済の過熱を避けるため、金融引き締めに加えて4兆5000億ドル(約500兆円)に上るバランスシートを縮小する段階的な措置が必要だと語った。年内にバランスシート縮小に着手するとの予想を示した上で、「幅広く周知され、緩やかで、率直に言えば退屈なやり方で、バランスシートをゆっくりと縮小することにコミットしている」と話した。

  ステート・ストリート銀行の若林徳広在日代表兼東京支店長は、「徐々にバランスシートを減らしていくことにより、ソフトランディングに持って行きたいのだろう。6月の米利上げも期待しているので驚かない。今年は米利上げはあと2-3回あるとみている」と述べた。

  菅義偉官房長官は29日、緊急記者会見で、北朝鮮が午前5時40分ごろ東岸から弾道ミサイルを発射して日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したとみられると明らかにした。韓国軍合同参謀本部の声明によると、北朝鮮が発射した飛翔体は「何らかの弾道ミサイル」のもようで、スカッド型の可能性が強いという。安倍晋三首相は、「国際社会の度重なる警告を無視して挑発を続けていることは、断じて許すことはできない」と批判。「米国とともに具体的な行動を取っていく」と述べた。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の吉利重毅外国為替・コモディティー営業部長は、北朝鮮のミサイル発射に対して、市場は慣れきっている感じで限定的な反応しかなかったと説明。「米国中心に何か軍事的なアクションなどがみられれば、最初は円買いになりそう。ただ、実際に日本に何かあれば、円売りになるのではないか。タイミングなど読みづらいだけに、動きも取りづらい」と語った。

  イタリア・シチリア島のタオルミナで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は27日、首脳宣言をまとめて閉幕した。議長国イタリアのジェンティローニ首相によると、自由貿易に関して、「貿易は常にすべての人々の利益になるわけではない」と認める一方、「開かれた市場を維持するとともに、保護主義と闘う」ことで合意した。

  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「G7で米国の雇用や貿易赤字へのこだわりが出てきたのは円高要因だが、保護主義の言葉が残ったことでプラスマイナスゼロと思っていい」と指摘。今週は、米経済指標と30日以降のコミ-前連邦捜査局(FBI)長官上院証言を注目材料に挙げ、「米供給管理協会(ISM)や雇用統計で力強い伸びが確認されれば下支え要因になるが、コミ-前長官証言を控えてなかなか上も抜けられない」と見込んでいる。

円とドル

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  ユーロ・ドル相場は小幅下落で同時刻現在、0.1%安の1ユーロ=1.1172ドル。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は29日、欧州議会で証言する。

  ステート・ストリート銀の若林氏は、「今後はECBもタカ派になって、テーパリング方向に行くとの見方が大勢。1.15~1.2ドル程度まで目指してもおかしくはない。ユーロは底固いのは間違いない」としながらも、「英国の総選挙やBrexit(英国のEU離脱)交渉、イタリアなど不安材料も残っている。100%突っ込んだユーロ買いにはならない」と語った。

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