メイ英首相はマンチェスターで爆弾テロが発生した22日、夜を徹して事態の展開について報告を受けた。2005年以降最悪の英国でのテロ事件を受け、首相は23日午前4時には労働党のジェレミー・コービン党首に電話し、6月8日の総選挙に向けた運動を互いに一時中止することで合意した。

  23日は国家緊急治安特別閣議(コブラ、COBRA)を2回開き、マンチェスターの警察を訪れると、同地の子供向け病院にも立ち寄った。同日夜にはコンサートやスポーツイベント会場の警備を軍に命じ、さらなる攻撃が差し迫っている可能性があると警告した。

  それまで選挙戦略を巡り閣僚らとの間で守勢に立たされいらだっているようにも見えたメイ首相は、テロ発生で国家指導者としての役割発揮が注目された。英ベテラン政治家の中でも、メイ氏はテロ対応の経験が豊富。過去に内相を6年務め、テロリストの計画阻止で情報局保安部(MI5)から要請された傍受令状に署名すべきかを決定する立場にあった。

  首相官邸の外でメイ氏は「全てのテロ行為は罪のない人々への卑劣な攻撃だ」と言明。「中でも今回の攻撃は、これまでの人生でも特に思い出深い夜となる時間を楽しむはずだった罪なき無防備な子供たちや若者をわざと狙い、おぞましく卑劣極まりない」とも述べた。

  若者に人気の高い歌手、アリアナ・グランデさんのコンサート会場で起きた自爆テロでは、22人が犠牲、少なくとも59人が負傷した。今回の事件を含め、欧州はここ2年ほど度重なるテロに見舞われている。欧州連合(EU)離脱を国民投票で選択した英国には、同盟国との治安協力が脅かされるという予期せぬ展開の可能性も浮き彫りとなった。

  労働党のコービン党首も、国のリーダーとしての資質が問われている。約3週間後に迫った総選挙で次期首相を目指すコービン氏は「人々を標的とする恐ろしい暴力行為であり、全面的かつ無条件に断固として糾弾しなければならない」と述べ、「苦しんだ人々をわれわれは支えなければならない。こうした状況では団結が必要だ」と語った。

  選挙運動がいつ再開され、今回のテロがどんな影響をもたらすかははっきりしない。EU残留・離脱を問う昨年6月の国民投票の1週間前には、残留派の英議員が白人至上主義者に殺害されたが、離脱派が勝利した。

  今回のテロは危険な時代に強いリーダーシップを発揮できると主張するメイ首相を後押しする可能性もあれば、英国は中東問題から手を引くべきだとするコービン氏に味方するかもしれない。同氏は中東への関与によって英国のテロ攻撃リスクは高まったとしている。

  ウォーリック大学のウィン・グラント教授(政治学)は「このような出来事があった後は、有権者は継続性を求める傾向がある」と電話インタビューで述べた上で、「まさにリーダーシップが問われている」と付け加えた。

原題:Terror Attack Tests U.K. Leaders as Election Campaign Put on Ice(抜粋)

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