ジュネーブの高級腕時計オークションから学ぶべき7つの事柄

先頃開かれた腕時計オークションでは過去最高値の多くが更新された。おなじみのブランドとよく知られたモデルで次々と最高値が付き、「最も高価」という言葉が繰り返された。競売人が小づちをたたき、品物が落札された瞬間に「そこにいた」と言えるようジュネーブまで足を運んだ腕時計マニア数百人から、その都度、大きな歓声が上がった。主要な品物が落札されるのを一目見ようと見物客も多く訪れ、オークションの出席者数という意味でも過去最多を記録した。

  現代の時計業界は低迷しているが、オークションの世界は活況なようだ(ただ、所々で軟調な兆しもある)。ここしばらくは、数点の主要な腕時計が信じられないような落札結果を残したからというだけでなく、特に興味深く刺激的だった。希少な腕時計の需要は信じ難いほど力強く、落札競争はさらに過熱。ロレックスとパテックフィリップの2つのブランドは通常通りの売り上げを達成したが、定評あるメーカーの大半の腕時計の落札結果は非常に堅調だった。ただ、全ての競売会社がそうした状況だったわけではない。

  少し距離と時間を置いて落札結果について考えてみると、今回の結果から以下の7つの事柄を学ぶことができる。

1. 一部の競売会社は他社よりもずっと好調

パテックフィリップのキャリバ-89は今回も落札されなかった。不成立となったのは過去1年間で2回目

Source: Hodinkee

  アンティコルム、クリスティーズ、サザビーズ、フィリップスの主要競売会社4社の売上高はわずか3日間で総額6100万スイスフラン(約70億円)を超えた。フィリップスが首位で3260万スイスフランと、昨年5月のオークションの売上高を18.5%上回った。

2. 腕時計の数が多過ぎ、良品はあまりない

美しいホワイトゴールドのオメガ・スピードマスター

Source: Hodinkee

  ビンテージ腕時計の魅力はこれまでになく高まっており、関心が集まるにつれてオークションカタログのページ数も増えている。問題は、競売会社が受け入れた腕時計の全てが競売に出品されるのにふさわしいというわけではない点だ。今回は計1271本の腕時計が出品されたが、その大半は希少でもなければ特に収集価値があるわけでもなく、自身で買い手を探すのが困難なディーラーが投資回収のために競売会社の知名度を利用するケースがあることがますます顕著になりつつある。

3. 現代に製造された腕時計が多過ぎる

クリスティーズが売却したロレックスの新品ヨットマスター(エバーローズゴールド)

Source: Hodinkee

  今回出品された腕時計1271本のうち、約230本が21世紀に製造されたものだ。全体の18%に相当し、多過ぎる。より広い品ぞろえの多様なカタログを提供したいという思いは理解できる。

4. 競売各社は新たに芽生えた人気に対応する必要がある

会場には著名収集家らが集まった

Photographer: Jordan Holloway

  主要競売会社は問題なく内覧会に来場者を受け入れ、前例にない数のマニアたちが空路や陸路でジュネーブを訪れた。最後の内覧会には収集家やメディア関係者、愛好家らが多数訪れた。非常に混雑したために、かなり真剣に購入を検討している腕時計を見るのに長時間待たねばならないケースもあり、いら立ちを募らせる来場者もいた。

5. 見えざる収集家がオークション会場を変える

「バオ・ダイ」競売の様子

Source: Hodinkee

  今回最も高値を付けた腕時計は「バオ・ダイ」、「ハイレ・セラシエ」、「ザ・レジェンド」(リファレンスナンバー6263)だった。これら3点はいずれも、数百万ドルで取引されていたころから売買をしている著名収集家が応札を競った。会場にはさらに真剣な収集家が多くおり、競売会社が新たな腕時計収集家を引き付けつつあるのは確かで、その大半はアジアと中東の人々だ。ただ、これまでのところ、極めて高額な品物は遠方からのオンラインか電話での応札者に落札されている。

  これは素晴らしいことだが、競売会社がオークションの娯楽としての価値を維持することを望んでいるなら、観客を活気づけ、見えざる無言の参加者を取り込む方法を学ぶ必要があるだろう。
  
6. ロレックスが王者

世界で最も高価な「デイトナ」である「ザ・レジェンド」

Source: Hodinkee

  今回はロレックスが王者だった。ビンテージのロレックス製腕時計が他を圧倒した。フィリップスは世界最高値と2番目、4番目に高額のロレックスを売却。3番目については1年前に(同じくフィリップスによって)売却されている。

7. 逸品が登場

珍しいホワイトゴールドのロレックス・サブマリーナー

Source: Hodinkee

  ユニークな腕時計は依然として収集対象となり、ロレックス製「デイトナ」がバブルのような状態だ。今回のオークションシーズンで最も興味深いトレンドとしては、「他と異なる」品物の人気が高かった。今回最高値を更新した同社製「サブマリーナー」はそれほど美しくはないが、ユニークな試作品だ。同じく最高値を更新した同社製「ポールニューマン」は、このタイプとしては典型的な見た目ではなかった。

  こうした結果はビンテージ腕時計収集にポジティブな影響を及ぼし得る。オークション会場にこれまで登場したこともない、未発見の逸品が依然として多く存在することが改めて示され、収集家が次なる逸品を探し出そうとするのを促すのは間違いないだろう。
  
原題:Seven Takeaways From Geneva’s $63 Million Watch Auctions(抜粋)

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