円ほぼ全面高、トランプ大統領への疑念で-ドル・円は111円台前半

更新日時
  • 英コンサート会場での爆発もリスク不安を増長
  • トランプ懸念がドル・円の上値抑制、米株高など下支え-CIBC証

東京外国為替市場では円がほぼ全面高。トランプ米大統領について新たな疑惑が浮上するなど、米国の政治情勢の不透明感が高まり、リスクオフの円買いが優勢となった。英国のマンチェスターで起こった爆発事件でテロの可能性が示唆されたことも重しとなっている。

  円は23日午後4時13分現在、主要16通貨のうち13通貨に対して上昇。ドル・円相場は1ドル=111円18銭で推移している。朝方からドル売り・円買いが先行し、一時は110円86銭と18日以来のドル安値を付けた。ポンド・ドルやユーロ・ドルは終盤にかけて値を下げた後に戻す展開となっている。

  CIBC証券金融商品部の春木康部長は、ドル・円について「トランプ大統領が外遊中ということで落ち着くとみられていた大統領への疑惑が収まらず、リスク回避の動きになっている」と説明。ただ、そうした中でも「米株が堅調に推移していることや6月の米利上げが確実視されていることもあり、ドル・円がずるずると下値を切り下げる雰囲気ではない」と述べた。

  ワシントン・ポスト紙は、トランプ大統領が3月にコーツ国家情報長官とロジャーズ国家安全保障局(NSA)局長に対し、選挙戦でのトランプ陣営とロシア政府の間の共謀の存在を公式に否定するように求めていたと伝えた。大統領が連邦捜査局(FBI)長官職を解任したコミー氏については、先週末に上院情報委員会の公聴会が今月30日以降に実施されることが明らかになったほか、24日に予定されていた下院監視・政府改革委員会の公聴会も延期されている。

  野村証券外国為替部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターはドル・円について、「政治問題なだけに見極めが非常に難しく、手が出しにくい状況」と指摘。ただ、市場でのドル・円のポジションに傾きがないことから、同問題で「急落しても、そこから勢いがついてロング(買い持ち)が投げられる相場にはならない」とみている。

  この日詳細が公表される予定の米予算教書では、ホワイトハウスは10年間で3.6兆ドルの歳出削減を求めるほか、2000億ドルのインフラ支出が盛り込り込まれている。また、10年以内に予算を均衡することも提案する見込みだが、米議会は提案の大幅な変更なしに採用しない見通しだ。野村証の高松氏は「目新しいものは出てこないだろうというのがマーケットのコンセンサスなので、材料視することはないだろう」とみている。

  今週は25日にモンタナ州で、共和党のライアン・ジンキ下院議員が内務長官に就任したことに伴う補欠選挙が実施される。CIBC証の春木氏は「モンタナ州は共和党の地盤であることから、もし共和党候補が敗れるようなことになれば、トランプ懸念はさらに深まるリスクがある」と指摘。「堅調な米株が崩れるようなことがあれば、ドル・円は下値リスクが高まるかもしれない」とみている。

  ポンド・ドルは下落。英中部マンチェスターのコンサート会場付近で22日夜、爆発があり、地元警察によると少なくとも22人が死亡した。警察当局は自爆テロとみており、市場ではリスク回避の材料として意識されている。

  前日にメルケル首相がユーロについて「弱すぎる」と述べたことで上昇したユーロは、市場のリスクオフの動きに押される場面もあった。CIBC証の春木氏は「欧州輸出企業のユーロ買いヘッジの需要が高まっている上、これらのヘッジそのものも出遅れているようでユーロの下値を支えている」と指摘。「取引高を伴って高値を切り上げておりモメンタムは強い」と述べた。

  一方で、オーストラリア・ニュージーランド銀行の吉利重毅外国為替・コモディティー営業部長は、「ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が慎重な姿勢を崩していないにも関わらずユーロは上昇している」と指摘。「あす24日のドラギ総裁の会見で出口戦略の議論に肯定的な見解を示すかが鍵になる」とし、「ユーロのポジションはロングに傾いており、発言によってはユーロが売られる可能性もある」とみている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE