JFE:持ち合い株圧縮で1000億円超捻出へ、設備投資の手綱は緩めず

  • 簿価ベースで3000億円の持ち合い株のうち3分の1を今期までに売却
  • 設備投資は今後も2000億円超の水準続く見通し、資産圧縮で資金確保

JFEホールディングスは持ち合い株式の圧縮を今期(2018年3月期)も進める方針だ。売却で得た資金を設備投資に充てる。原料高や海外鋼材市況の下落など鉄鋼業界を取り巻く環境は厳しいが、老朽化した製鉄所の設備更新など競争力強化に向けた手綱は緩めない。簿価ベースで3000億円の持ち合い株式のうち、3分の1に当たる1000億円分を今期までの2年間で売却する計画だ。

  岡田伸一副社長が19日、ブルームバーグとのインタビューで「今期も前期と同じくらいの株式売却を計画している」と述べた。前期は投資有価証券の売却で699億円の資金を得た。その大部分が持ち合い株式で、売却益301億円も計上。設備投資や研究開発に充てるためと説明し、相手先企業の了解を得た上で一部売却を進めている。計画は簿価ベースのため、実際に2年間で得る資金は1000億円を超える見通し。

  JFEHDは今期までの3年間で6500億円の設備投資を計画。西日本製鉄所倉敷地区(岡山県)で鉄鋼原料となるコークスを生産する炉1基の改修を3月に終了するなど、計3基のコークス炉の改修を終えた。来年3月には東日本製鉄所千葉地区(千葉県)のコークス炉1基も改修を終える予定。溶けた鉄から熱延鋼板などの半製品を製造する上工程での生産効率において「新日鉄住金との比較でかなり差があった」と分析して、コークス炉などの設備の更新投資を増強してきた。

  コークスは石炭を炉で蒸し焼きにしたもので、高炉に鉄鉱石と共に投入して鉄鉱石に含まれる不純物や酸素を取り除き、鉄を取り出す役割を果たす。コークス炉の老朽化に伴い稼働率が低下したことで、コークスの不足分を外部から調達し、コスト負担につながっていた。来年に千葉のコークス炉の改修を終えれば、割高な外部調達をなくして自社生産で対応できる態勢が整う。今期はすでに改修したコークス炉の効果などで前期の300億円を上回る450億円のコスト削減効果を見込む。

  前期の設備投資額は2347億円と減価償却費1826億円を上回った。過去3年間は設備投資額の負担が上回る。収益環境の厳しさが増したことから、財務基盤の悪化を防ぎながら設備投資水準を維持するため、前期から持ち合い株の圧縮に乗り出した。

  今期以降についても、西日本製鉄所福山地区(広島県)で鉄鉱石を焼き固める焼結機と呼ばれる装置の更新や、製鉄所ごとに分かれていた生産・品質管理のコンピューターシステムの刷新、統合作業などの設備投資を計画。「設備投資額は足元から下がることはなく、2000億円を超える水準が続く」との見通しを示した。

  今期の業績見通しについては公表を見送った。オーストラリアでのサイクロンの影響によって石炭が契約通り出荷できない状態となり、4-6月期の石炭の契約価格が決まっていないためだ。ただ、「鉄鉱石や原料炭の価格は現在の水準から大きく下げることはない」と指摘。鉄鉱石のスポット価格は1トン当たり60-70ドル、原料炭は同160ドル程度で推移するとみる。

  国内の鉄鋼需要は堅調とした上で、これまで取り組んできた鋼材価格の値上げについては「上期中に完遂しようと取り組んでいる」と説明。コスト削減効果も着実に見込めることから「実質的な利益はかなり改善する」との見通しを示した。

中国の今後の動向を注視

  一方、4月の粗鋼生産が過去最高を記録した中国については「政府の景気対策の影響もあり、内需はかなり活況」と指摘。輸出市況に影響を与える中国から鋼材輸出が足元で増えているわけではないが、「公共事業がどこまで続くのか限度はある」として引き続き今後の動向を注視する考えを示した。

  トランプ米大統領が北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しに乗り出す中、米国最大の鉄鋼メーカー、ニューコアとのメキシコでの自動車用鋼板の合弁工場の設立については「予定通り粛々と進める」と述べた。「足元でのメキシコの自動車の需給を見ても、参入していく余地は十分にある」として、19年の稼働を予定している。

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