ECB主流派が唱える「強い論理性」、出口戦略の見通しは-Q&A

欧州中央銀行(ECB)が非伝統的措置から脱却する出口戦略の手順を巡る議論が、静かに始まっているもようだ。

  チーフエコノミストで政策委員会に理事会の案を提示する役割を負うプラート理事は、量的緩和(QE)をまず終了し、それから金利を引き上げる計画を支持。この戦略には「強い論理性がある」と述べている。だが、少なくとも2人の政策委員会メンバーは現在マイナス0.4%の預金金利引き上げが正当化される状況もあるとの見方を示しており、QE終了前に利上げが決まる可能性が消えたわけではなさそうだ。これまでの議論を振り返ってみる。

1.順序の変更があり得るという考えは、どのように生まれてきたのか

  QE終了前の利上げが可能かについては、3月9日のECB政策委員会会合で手短に議論に上った。ブルームバーグがこの翌日報じたところ、ユーロと債券利回りは上昇した。その翌週、政策委メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁がドイツ紙に対し、ECBに米当局のモデルを「そのまま移植できるのか」議論する必要があると述べてQE終了前の利上げに含みを持たせると、ユーロ相場はさらに上昇した。

2.市場の反応は良かったはずがない?

   良くなかった。ノボトニー氏の発言が伝わった数時間以内にプラート氏はブルームバーグに対し、順序に関するECBのフォワードガイダンスは「極めて明白」で「強い論理的根拠がある」と言明。4月上旬の会合でもこのメッセージを繰り返した。ドラギ総裁は政策姿勢の変更について議論を開始するにはインフレが弱すぎると指摘し、この議論を封じ込めようとしている。

3.QEを先に終了させる「強い論理性」とは?

  プラート氏は政策金利引き上げで利回り曲線全体を押し上げる前に、資産買い入れを終了して利回り曲線をスティープ化させるべきだとの考えだ。トレンズ誌が5月11日に公表したインタビューでは「まずQEを終了し、長期金利を含むタームプレミアムを上昇させ、その後でのみ短期金利を引き上げるという決定の背後には、この通り、極めて強い論理の連環がある。過去数年間の金融政策で得た成果を巻き戻したくないなら、秩序立った方法で緩和を縮小していく必要がある」と述べていた。

4.では順序を変更する論拠は?

  恐らく最も強い論拠は、マイナス金利が銀行の利ざやを圧迫し、金融政策の伝達に支障を来す可能性があるというものだろう。このシナリオは政策委員会内でプラート氏と同じくらい強い影響力を持つクーレ理事が唱え、リトアニア中銀のバシリアウスカス総裁も認めた。ただ両者とも、このリスクが顕在化しつつあるのか証拠を見極める必要があるとの立場だ。

5.この議論はいつまとまるのか

  ECB政策委員会の次回会合は6月8日にタリンで開かれる。プラート氏はこの席で他の政策委メンバーらに共同歩調を取るよう呼び掛け、さもなければ市場を再び動揺させるリスクが生じると主張する公算が大きい。だがクーレ氏の示すリスクが消えない限り、政策手順を変更する選択肢を放棄する理由はない。ECBにとってこれは最重要の議論ではなく、必ずしもすぐにまとまる必要はないが、完全な出口戦略を求める圧力は高まっている。このため投資家はより明確な説明を恐らく要求するだろう。

原題:Here’s the ECB’s ‘Strong Logic’ for Ending QE Before Rates Rise(抜粋)

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