メイ氏は第2の「鉄の女」-英保守党嫌悪の地方で有権者の心つかむ

  • 37年前に大量失業の憂き目にあった元鉄鋼労働者も今は保守党支持
  • 世論調査は保守党が1922年以来初めてウェールズで勝利の可能性示す

時は1980年。「鉄の女」と呼ばれたサッチャー首相(当時)率いる保守党政権の下、国有会社ブリティッシュ・スチールは英ウェールズのショットンにあった工場を閉鎖し、1万人の鉄鋼労働者が失業した。その1人、デービッド・コットレル氏(62)は37年後の現在、同地近くでペットショップを営んでいる。かつて労働党支持者だった同氏は当時の大量失業にもかかわらず、今は地元経済のために保守党を頼りにする。

  「テレサ・メイ氏は新風を吹き込んでくれる。典型的な保守党指導者とは違って、労働党の草の根層にも訴え掛ける」と話すコットレル氏は「今の労働党指導層を私は支持できない」と付け加えた。

  メイ氏はグローバリゼーションに置き去りにされたと感じる労働者層に対し、政治家に懐疑的 になるのも当然と語り掛け、苦しい毎日が続くだろうが社会を公平にするよう努めると秋波を送る。こうしたメッセージがかつて鉄鋼や鉱業で栄えた地方の人々の琴線に触れ、保守党への嫌悪感を消し、政治基盤を1世紀ぶりに変えようとしている。総選挙は6月8日実施。

  欧州連合(EU)を離脱したいという機運の高さも、19世紀の産業革命を支えた地域の一つ、ウェールズで保守党に有利に働く別の要因だ。昨年6月の国民投票で、ウェールズにある22の自治体でEU残留を支持したのは5つのみで、政治勢力マップが塗り替えられた状況を示唆している。

  ウェールズでは保守党が1922年以降で最大の得票率と議席数を確保する勢いだ。2015年の選挙では40議席中、労働党が25議席、保守党は11議席獲得だった。最新の世論調査では労働党の追い上げも示唆されるが、メイ首相率いる保守党がウェールズで優勢なら、他の地域でも同党が大きく勝利する可能性がうかがえる。

  議席を死守したい労働党議員らにとっての問題は、有権者が議員らの実績ではなく、党首に注目している点だ。メイ首相の支持率は保守党全体よりも高いが、労働党のコービン党首はその逆だ。

  地方ではメイ首相に「力強く安定した指導力」があるとの同首相の主張が信じられているようだ。ブルームバーグ・ニュースが先週実施したウェールズでのインタビュー調査でも、自ら進んでメイ氏とコービン氏を対比させる有権者が目立った。

  同調査で自らの投票姿勢を明らかにしてもよいとした15人中、8人が保守党に、7人が労働党にそれぞれ投票する方針としたが、労働党支持者の一部からさえコービン氏への明確な賛辞は聞かれなかった。接客業のハリー・マーサー氏(23)は「ジェレミー・コービン氏はまともだが、力強い指導者には見えない。新しい鉄の女の前では特にそうだ」と語った。

原題:Even U.K. Towns That Hated Tories Are Now Happy to Vote for May(抜粋)

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