5月4週(22ー26日)の日本株は底堅く推移しそうだ。トランプ米大統領のスキャンダルに対する不安から積極的な買いは入りにくいが、国内外の経済や企業業績の堅調から投資家は冷静さを取り戻しつつあり、投資指標からみた海外株に対する割安感も下支え要因になる。

  トランプ大統領によるコミー連邦捜査局(FBI)長官の解任後も米政治の混乱は続き、昨秋の米大統領選へのロシア介入疑惑を巡り、司法省はFBI捜査を監督する特別検察官にモラー元FBI長官を任命した。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、共和党を含め議会側は真相究明を目指す姿勢を明確にしており、モラー氏からお墨付きをもらえば大統領の信任は大きく上がる半面、政権の関与が証明されれば致命傷になりかねない、とみる。

株価ボード
株価ボード
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  一方、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場の低下予想に反し上昇するなど、1ー3月期データが低調だった米経済統計は回復方向、国内では実質国内総生産(GDP)が11年ぶりに5四半期連続のプラスとなった。経済堅調の中、日経平均株価採用銘柄の1株利益は少なくとも2000年以降で最高の1400円に迫り、予想PERは14倍と昨年11月以来の水準まで低下している。米S&P500種株価指数の18倍、ストックス欧州600指数の16倍に比べ割安だ。

  BofAメリルリンチの世界ファンドマネジャー調査によると、5月の日本株配分比率はプラス12%のオーバーウエートで、4月から3ポイント低下した半面、現金比率は高水準のままで、ポジションの軽さから日本株は見直されやすい状況にはある。第4週は米国で23日に4月の新築住宅販売件数、24日に5月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、26日は4月の耐久財受注や1ー3月期GDPの改定値が公表予定。25日は石油輸出国機構(OPEC)総会が開かれ、原油市況に影響が及ぶ可能性は高い。第3週の日経平均は1.5%安の1万9590円76銭と5週ぶりに反落。16日には2万円まであと1円50銭と迫ったが、その後米政治不安で崩れた。

  • ≪市場関係者の見方≫

しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジスト
  「トランプ米大統領を巡る一連の疑惑が完全に晴れるまで積極的な投資は手控えられるが、世界経済は順調で、日本のファンダメンタルズは良好だ。米大統領弾劾のハードルは高く、現時点では退任まで見通せない。政局不安で世界株が急落したケースは間を置かずに戻しており、大崩れはないだろう。25日のOPEC総会では減産合意の延長が見込まれ、原油価格は上昇しよう。相場のプラス材料になり得る」

ベイビュー・アセット・マネジメントの佐久間康郎執行役員
  「トランプ米大統領の情報漏えいに関する疑惑はテールリスクだが、今織り込むには材料不足。再びファンダメンタルズに投資家の視点は移り、急落の修正が入る。米経済は過剰に過熱しているわけでも冷え込んでいるわけでもなく、ゴルディロックス状態だ。ただ、来月の米雇用統計待ちで、日経平均が2万円を超えて買い上がる材料には欠ける。業種別では、半導体などテクノロジー、サービスなどの業績は好調、相対的に割高の評価でも引き続き有望だ。一方、銀行や自動車などは割安だが、構造的に難しい業種になっている」

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最高投資責任者
  「トランプ米大統領の情報漏えい疑惑への警戒から日本株は短期的に下落し、リバウンドが入りやすい。そのスキャンダルをもって米政治全体が混乱するということはなく、短期的に懸念が行き過ぎている。焦点は実体経済で、ファンダメンタルズに変化がない中では急落前の水準に戻る。米経済指標は第1四半期が悪かったため、戻りが多少あろう。ただ、上値を追うのは難しい。米経済は消費が弱く、6月利上げ後の影響は不透明だ。国内も決算発表が終わって材料不足」

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