民進党の蓮舫代表は、安倍晋三首相が提唱した憲法改正案は「アイデアにも値しない」とみている。国会で安倍首相が読売新聞を熟読してほしいと説明を拒んだことも含め「おっしゃってることが全く理解できない」と批判。2020年施行に向けた改憲論議には参加しない姿勢を示した。

蓮舫氏
蓮舫氏
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  蓮舫氏は18日のインタビューで、安倍首相の国会説明がないため提唱内容を全く理解していないと強調。仮に戦争放棄をうたった9条1項、戦力の不保持を定めた2項をそのままにして自衛隊の存在を3項で書き込んだ場合、「整合性がとれるのか」と疑問を呈した。

  また、現段階で9条改正を求める声は「国民の中に高まっているとは思わない」とも述べ、国民投票で自衛隊を明記する改憲案が否決された時にどのような対応ができるのか「詰めるべき論点はいくつもある」との見方を示した。

  安倍首相は3日の読売新聞朝刊に掲載されたインタビューと改憲派団体の主催したフォーラムに寄せたビデオメッセージで、20年の改正憲法施行を目指す考えを表明。9日の参院予算委員会では、憲法学者の7、8割が違憲と言っているとし、こうした状況を変えることが「私たち世代の責任ではないか」と述べていた。

  菅義偉官房長官は8日の記者会見で、安倍首相の改憲提案について、「総理ではなく自民党総裁として、政党間の議論活性化のために考えを公にした」と説明したが、憲法改正には衆参両院の3分の2以上の賛成による発議が必要。自民党単独では届かず、公明党の協力が不可欠となる。同党の井上義久幹事長は12日の記者会見で、自衛隊を憲法上明記しなければ安全保障に支障があるという状況ではないと語った。

蓮舫体制の民進党

  蓮舫氏は昨年9月の民進党代表選で、次点の前原誠司元外相の倍近いポイント数を獲得し、民主党時代を含めて初の女性トップとなった。「提案・対案型」の政党を目指してスタートしたが、4月22、23両日に実施した共同通信による政党支持率調査では、自民党39.9%に対し、民進党は6.7%にとどまっている。

  蓮舫氏は、野党が予算の執行権を持つ政権与党との差を埋めていくには、行政監視をしっかり行い国民の信頼を高める必要があると語った。「批判ばかりと言われても、正すのが役割だ」とも述べ、国有地の払い下げ価格が不透明と指摘された森友学園や、獣医学部新設を巡り安倍首相との個人的関係が指摘されている加計学園の問題などへの追及の手は緩めない方針を示した。

  一方、国会では政府提案に問題があれば、修正案を提示し与野党賛成の形で成立しているものも多く、昨年の通常国会では最終的に政府提案の8割に賛成したと述べた上で、こうした実績を「伝える努力をするしかない」と語った。

安倍政権

  内閣府が18日発表した1-3月の国内総生産(GDP)速報値は、11年ぶりに5期連続のプラスとなった。蓮舫氏は、景気の上振れを歓迎しているとしながらも、「異次元の金融緩和からマイナス金利という事態にまでなった」ことに懸念を表明。「財政規律が守られるかという点で赤信号がともっている」と述べ、再分配のあり方や政府の景気刺激策のあり方を巡って「立ち止まって点検をする時期にきている」との見方を示した。

  安全保障政策の面では、国際社会に日米同盟関係の強固さを示すことの大事さは否定しないとしながらも、「内閣として緊張を不用意に高めるべきではない」と述べた。4月29日に北朝鮮のミサイル発射を受けて全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動し、交通機関が停止したのは、「混乱であり極めて恥ずかしい」と批判。韓国にいる邦人待避の問題を含め、国民の安全をどのように守るかという実務的な面を、日米防衛協力指針(ガイドライン)を最大限活用し進めてほしいと語った。

都議選での審判

  蓮舫氏は7月の東京都議選について、自らが先頭に立って「首都決戦」に挑むと述べた。民進党では、都連幹事長であった長島昭久氏が5月に離党。既に決定していた複数の公認候補が離党届を出している。一時は36人いた公認候補は現在21人となったが蓮舫氏は今後も候補者を増やし、1人でも多く勝たせたいと述べた。民進党系会派の現有議席は18人。

  都議選の影響について蓮舫氏は、「いつ総選挙があるか分からない中、都議会議員の存在の影響は大きい」と述べ、来る総選挙に向けて「緊張感をもって臨む」と語った。

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