ドル・円は4月下旬以来の安値圏、米政権不安で一時110円台半ば

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  • 110円54銭まで下落後111円台に反発、特別検察官任命で買い戻しも
  • ドル・円は相対的に出遅れ、下値リスクある-三菱東京UFJ銀

東京外国為替市場のドル・円相場は4月下旬以来の安値圏で推移。トランプ大統領によるロシア当局者への機密情報漏えい疑惑など米政権に対する不安が高まる中、早朝に1ドル=110円台半ばまでドル安・円高が進んだ。

  前日の海外市場では米国の政治不安を背景にドル安・円高が加速。この流れを引き継ぎ、ドル・円は午前7時前に一時110円54銭と4月25日以来の安値を付けた。その後は大幅下落の反動もあり反発に転じ、午後には111円42銭まで値を戻した。市場では、米司法省によるロシア問題捜査の特別検察官任命の発表をきっかけに、レバレッジ系などからショートカバーが入ったとの説明が聞かれた。午後3時56分現在のドル・円は前日比0.4%高の111円30銭。

  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、ドル・円は4月17日の108円台から114円台まで6円上昇し、「6月の米利上げをフルに織り込んで続伸が難しくなったところに絶好の売り材料が出てきたということだろう」と早朝にかけての動きを説明。「すでにドルインデックスやユーロ・ドルは米大統領選の水準まで戻しており、その意味ではドル・円は相対的に出遅れており、その点からも下値リスクはある」と語った。

  17日の海外市場ではトランプ政権に対する懸念から米国株が急落。逃避需要の高まりから米国債は急伸(利回りは低下)し、ブルームバーグ・ドルスポット指数は6営業日続落した。ドル・円は2.0%安と昨年7月29日以来の大幅な下げを記録し、ユーロ・ドルは0.7%上昇した。きょうは一時1ユーロ=1.1172ドルと、昨年11月9日以来のドル安値を更新した。  

  18日の東京株式相場も大幅続落し、日経平均株価は一時365円安となった。アジア株はほぼ全面安となり、リスク回避の流れが続いた。

  HSBC証券マクロ経済戦略部の城田修司部長は、「当社はもともと年末1ドル=100円を予想しているが、米財政拡張政策が小規模になってしまうという前提で米金利が下がり日米金利差が縮小するというのがメインシナリオ。今回のトランプ政権の政治リスクは勘案していない」と話し、米政治の行方次第では「100円シナリオの達成時期が多少前倒しされるかもしれない」と語った。

  米政治の混迷が深まる中、市場では米利上げ期待も後退している。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)取引に基づいて推計される6月の利上げ確率は75%程度。1週間前の96%から低下した。

  大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、6月の米利上げは米国株次第で、株価が大幅に下落すれば利上げしにくくなると指摘。その上で、ロシア問題をめぐって米共和党から内部調査を求める動きが出つつあり、真実を調べる過程に入るとし、「すぐに白黒結論が出る状況ではないので不透明感は続く」との見方を示した。

  朝方発表された日本の1-3月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は前期比0.5%増と11年ぶりの5期連続のプラス成長となり、年率換算では2.2%増となった。

  亀岡氏はGDPの影響について、「予想より多少良かったので、若干の円安方向にリスクオフの巻き戻しの動き」につながったと話した。一方、HSBC証の城田氏は、来年度も1%台前半の成長率が続くとの見通しに沿ったもので「相場を動かすようなサプライズではない」と指摘。「しばらくは米政治がマーケットのメインテーマになる」と語った。

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