円全面高、トランプ政権運営に不透明感-対ドル約2週間ぶり高値

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  • ドル・円一時112円26銭、ユーロ・ドルは昨年11月来の高値
  • 米国株次第で111円台前半までの下落リスクも視野-ANZ

東京外国為替市場では円が全面高。トランプ米大統領の情報漏えい疑惑に加え、米連邦捜査局(FBI)に対する司法妨害の可能性が浮上したことを受けて、リスク回避の動きが強まっている。

  円は午後3時51分現在、主要16通貨全てに対して上昇。ドル・円相場は1ドル=112円33銭で推移している。朝方から円買い・ドル売りが優勢となり、一時は112円26銭と5日以来の円高値を付けた。ドルインデックスは4営業日続落。一方、ユーロ・ドルは一時1.1122ドルまで上昇し、昨年11月9日以来の水準を付けている。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の吉利重毅外国為替・コモディティー営業部長は、「米大統領による機密情報漏えい問題や、FBI長官を解任されたコミー氏に圧力が加わっていたことが明らかになり、リスクオフの動きとなっている。市場では政権運営の危うさに再び焦点が当たっている」と指摘。これまで下げ渋っていた米国株が「東京時間で米株先物が下げており、米株が崩れるとドル・円は4月半ばからの上げ幅の半値戻し111円25銭程度までの下落リスクが出てくる」と言う。

  トランプ大統領の政権運営をめぐっては、先週のコミーFBI長官の解任以降、ロシア外相らに大統領が機密情報を明かしたとの問題が浮上。さらに解任されたコミー氏に対して、2月にフリン大統領補佐官(国家安全保障担当、当時)を対象とした捜査の中止を求めていたことが明らかになった。弾劾訴追に値する司法妨害を大統領が行った可能性があるとして、市場は政権の不安定化を警戒している。

  みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、ドルインデックスがトランプ氏が大統領になるとわかった昨年11月9日以来の水準まで下落したことで、「今までの期待が全部、為替市場では剥げ落ちた感じ」と指摘。「要因は米国にある。機密情報の漏えい問題があるほか、最近出てくる経済指標は全部予想比悪い。これを受けてドルを売るのは当然で、それが一番本質的」と説明した。

  前日発表された4月の米住宅着工件数は117.2万件と市場予想に反して減少。米シティグループが算出している米国のエコノミックサプライズ指数はマイナス37.6まで低下し、昨年5月以来の低水準を付けた。みずほ銀行の唐鎌氏は「これでも6月の米利上げ織り込み度は今100%。米連邦準備制度理事会(FRB)がやるというから織り込んでいるのであって、経済指標をみて織り込んでいるのではなく、とても不健全」との見方を示す。

  その一方でANZの吉利氏はドルインデックスについて、「政策的な期待のはく落に伴うドル高の修正は完了してきている。来週には予算教書が公表される見通しで、税制やインフラ投資などで具体的な姿が見える可能性もある。その意味では、ドル・円は押し目買いのタイミングを見極めることになってくるのでは」と指摘した。

  ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、ユーロの上昇について「欧州の政治リスクが後退したほか、ロシア絡みで米政治リスクが高まっていることから、ユーロ買い・ドル売りの動き」と説明。「欧州経済は強く、欧州中央銀行(ECB)の政策姿勢が変わってくればユーロは上がるだろう」と述べた。

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