1兆ドル償還控える米国債市場、最も痛手大きい年限巡り意見割れる

  • 連邦準備制度の再投資が2016年の米財政赤字の約4割を穴埋め
  • 最大の資金源失い借り入れコスト上昇へ、トランプ政権の課題複雑に

米連邦準備制度が米国債にとってどれほど重要かを理解するには、次に挙げる純然たる事実を考慮したい。連邦準備制度だけで昨年の米財政赤字の約4割を賄った点だ。

  米金融当局者が危機時に買い取った債券の保有を年内に段階的に縮小する可能性に言及する中で、米国が最大の資金源を失えばどういう事態になるかを検討することは、差し迫った問題になっている。

  もちろん、米国債が世界で最も安全で重要な資産であるのはほぼ間違いないだけに、買い手探しはほとんど問題にならない。だが、赤字拡大が見込まれる中で米金融当局の存在感が後退し米財務省が赤字穴埋めで発行を増やせば、市場のどの部分が最も痛手を受けるかを巡り債券ディーラーの意見は割れている。JPモルガン・チェースは5年債と7年債が需要減少の影響を最も受けると予想。一方、ドイツ銀行とソシエテ・ジェネラルは、長めの期間の米国債利回りが最も上昇すると指摘する。

  ソシエテの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャパ氏(ニューヨーク在勤)は「財務省にとって、連邦準備制度は米国債の極めて安定した買い支えの役割を果たしてきた」と指摘。今後数年は「連邦準備制度の保有債券の多くが償還され、再投資が段階的に縮小されることから、財務省による発行は多くなろう」と予想した。

  実際、連邦準備制度が保有する2兆5000億ドル(約283兆円)相当の米国債のうち向こう3年で1兆ドル余りが満期を迎える。金融当局は量的緩和(QE)プログラムの結果、1兆7700億ドル相当の住宅ローン担保証券(MBS)も保有する。連邦準備制度は昨年、償還元本を再投資してバランスシートを一定に保ったが、2014年に導入されたこの再投資政策が年内に変更されると予想するディーラーもいる。

  連邦準備制度が退く影響は債券市場だけにとどまらない。借り入れコストの上昇で、トランプ政権が掲げる1兆ドルのインフラ投資や大型減税といった経済成長促進策の費用も増加する。このほかにも議会予算局(CBO)によれば、向こう10年でメディケア(高齢者向け医療保険制度)や社会保障制度などを賄うために米国の債務がさらに10兆ドル増えると既に予想されている。

  

原題:A $1 Trillion Pain Trade in Treasuries Divides Top Bond Dealers(抜粋)

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