花形シェフの旅の供はビーフジャーキー、機内食よりアンチョビサラダ

高級ライフスタイル誌「ブルームバーグ・パースーツ」では取材旅行を好む。適切な旅行にしたいと常に願い、フードやワイン、ファッション、自動車、不動産の高級分野に精通する世界を旅する人々に話を聞き、とびっきりの経験やヒントを得る。いわば、超高級トラベルハッキングだ。

  旅に出ると、シェフたちは一般人とよく似た行動を取りがちだ。有名シェフのドミニク・アンセル氏のように、ホット・ソルトビーフベーグルのような重過ぎる夜食を取る癖があるシェフもいる一方で、ホステス社のおやつをほしがるような庶民とほとんど変わらないシェフもいる。だが、プロの料理人の相当数は、もっと健康的なライフスタイルで、高タンパクで塩分の少ないスナックを選んでいる。

シェイマス・マレン氏

Photographer: Colin Clark

  健康的な食生活のメリットを最もはっきりと物語るのは、ニューヨークの人気スペイン料理店テルトゥリアのオーナーシェフ、シェイマス・マレン氏だろう。同氏は2012年に関節リウマチの治療で使った複数の免疫抑制剤に拒絶反応を起こし、集中治療室に収容され、辛うじて生還した経歴を持つ。

  花形シェフとしての人気が上昇するのに伴い増えたこってりした食事と際限ない飲酒、深夜のパーティーという、長年の不摂生がたたったことを思い知ったマレン氏は、賢く食事を取るべき時だと決意。高脂肪で炭水化物が少ないメニューを選び、加工食品や糖分の摂取をやめ、針治療も受けた結果、60ポンド(約27キログラム)余りの減量に成功した。医師の診察を定期的に受けたり、緊急入院したりすることもなくなった。「43歳の今が私のこれまでの人生で一番健康だ」とマレン氏は話す。

  以下は、健康的な生活を始める前は「飛行機に乗るたびに気分が悪くなった」というマレン氏から聞いた飛行機に乗る前、フライ中、そして降りた後に使える旅のコツだ。

  まずは水分をたっぷり取ることだ。フライト前にたくさん水を飲み、セキュリティーチェック通過後に水筒を水で満タンにする。客室乗務員に水を頼むだけでは不十分だ。頻繁にトイレに行くことに備えて座席は常に通路側を選ぶ。考えるまでもないが、アルコールやコーヒー、糖分の多い飲料よりも水を飲む方が体内の水分は保たれる。点眼薬や鼻のために生理食塩水も必携だ。目や鼻、口が渇けば、ウイルスやバクテリアに感染しやすくなる。

機内持ち込みにお勧めの焼きのりのラップ

Source: Simple Feast

  フライト中は、高品質の着圧ソックスを身に付けよう。健康的な生活を始める以前にマレン氏はアジアからの長いフライトの後、深部静脈血栓症を起こし、血栓が肺に移動して肺塞栓(そくせん)で死にかけたという。着圧ソックスの着用で血栓症リスクは劇的に低下する。

  自分が食べる物は持ち込もう。一般に機内食は、自分のスケジュールに必ずしも合わない変な時間に提供される。以前は、空腹か否かにかかわらず食べて気持ちが悪くなっていた。今は搭乗する前にたらふく食べる。機内で再加熱されたひどい食事を客室乗務員に差し出されても、空腹だと思わなくて済む。また、目的地で食事したい店を選んでおけば、それが楽しみになり、機内で食べないという気持ちにさせる。

  マレン氏は機内で食べるスナックを持ち込む。牧草で育てられた牛の肉で作られたビーフジャーキー(糖分無し)は常に携行する。塩気はあるが良質のタンパク質を含み満足感がある。よくかむ必要があるので過食を防ぎ、ポテトチップなどのように食べ過ぎることはない。

  イベリコハムなど塩漬け肉は、通路側に座る人と友達になるのに便利。マカダミアナッツ、焼きのりなども常備品だ。もし、準備する時間があるなら、アボカドとオイルサーディンかアンチョビ、ツナ、サバを混ぜたサラダを作って焼きのりで巻く。油漬けの魚は炎症を抑えるのに役立つとされるからだ。少し臭くて他の乗客に嫌がられたとしても、それだけの価値がある。
  

原題:Why This Star Chef Always Packs Beef Jerky on a Plane (抜粋)

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