債券上昇、北朝鮮情勢やサイバーテロで買い圧力-需給緩和観測は重し

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  • まだ買えていない投資家多く、押し目買いに期待-パインブリッジ
  • 先物2銭高の150円68銭で終了、新発10年債利回り0.04%で取引成立

債券相場は上昇。北朝鮮のミサイル発射や世界的なサイバー攻撃を背景に先行き不透明感が広がっていることから、安全資産としての債券に買い圧力が掛かった。一方、週内に5年債と20年債の入札を控えて、需給緩和への警戒感から上値は限定的となった。

  15日の長期国債先物市場で中心限月6月物は前週末比6銭高の150円72銭で取引を開始し、いったんは150円75銭まで上昇した。午後には上げ幅を縮め、結局は2銭高の150円68銭で引けた。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「北朝鮮のミサイル発射やサイバーテロ、米国と中国の弱い経済指標が円債市場に影響している」と指摘。その上で、「週内に5年と20年の入札を控えて慎重姿勢が払しょくできないものの、まだ買えていない投資家は多く、押し目では買いが期待できる」と言い、「20年債利回りは0.6%が買いの水準」とみる。

  現物債市場で新発20年物国債の160回債利回りは日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値から1ベーシスポイント(bp)低下の0.59%、新発30年物の54回債利回りは一時1bp低下の0.825%と、それぞれ2営業日ぶりの水準まで買い戻された。

  一方、長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、午後3時半すぎにようやく横ばいの0.04%で取引が成立した。前週末12日も午後3時前後に寄り付いた。

地政学リスク高まる

  12日の米株式相場は下落。小売売上高や物価指標を受けて経済成長の先行き不透明感が強まり、S&P500種株価指数は1カ月ぶりの続落となった。一方、米国債相場は大幅続伸。10年国債利回りは前日比6bp低下の2.33%程度で引けた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、14日の北朝鮮によるミサイル発射について、米トランプ政権が軍事行動に出るレッドラインの一つとされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発が前進しているとの分析などもあると指摘。「こうした流れが地政学的緊張を高めれば、リスク回避的な債券買い需要につながりやすい」としている。

  一方、ランサム(身代金)ウエアによる前例のない世界的規模のサイバー攻撃被害について、稲留氏は「前例があまりないため、影響が顕在化した場合の債券市場の反応は見通しにくい」と説明。その上で、「国内経済や金融市場への混乱、リスク回避的な株安・円高をもたらしたりすれば、質への逃避的な債券買い材料になる」と言う。

入札とオペ

  今週は5年利付国債、20年利付国債の入札が実施される。発行予定額は5年債が2兆2000億円程度、20年債が1兆円程度となる。これに対して、日本銀行の長期国債の買い入れオペは、17日に残存期間「1年超5年以下」と「5年超10年以下」、19日には「10年超」がそれぞれ予定されている。
日銀長期国債買い入れオペの運営方針はこちらをご覧下さい。

  パインブリッジの松川氏は、「10年債は先週の日銀オペ2回で在庫軽くなった感がある。0.05%が買いの水準」と述べた。

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