東電:19年度から原発稼働で経常益2000億円確保-10年間の新再建計画

  • 柏崎刈羽原発再稼働が2020年度以降になると経常益は大きく落ち込む
  • 再稼働遅れると経営再建や脱国有化にはより時間かかる:広瀬社長
Photographer: Tomohiro Ohsumi
Photographer: Tomohiro Ohsumi

東京電力ホールディングスは11日、2019年度から柏崎刈羽原子力発電所を再稼働することで2000億円規模の経常利益を確保する再建計画を発表した。福島第一原子力発電所事故の賠償や廃炉に関わる費用が従来想定から倍増したことで3年ぶりに同計画を改定。今後10年間で再稼働や事業再編による経営改革を進め、27年度以降には4500億円規模の利益水準を目指す。

  原発事故以降に国有化された東電HDは同日、政府に再建計画「新々総合特別事業計画」を申請。柏崎刈羽原発7基を19年度から順次再稼働した場合、17年度から10年間の経常利益(東電HDと主要子会社3社の合算値)は1500億-2000億円超を確保する見通し。これには廃炉や賠償に関わる年5000億円の支払いを織り込んでおり、20年度以降に再稼働がずれ込むと利益が大きく落ち込む。

  昨年来、政府は有識者会合を通じて、21.5兆円に倍増した原発事故処理を巡る費用負担の在り方を検討。その中で、東電HDは廃炉費8兆円と賠償費の3.9兆円分の負担を求められ、3年ぶりに再建計画の改定に踏み切った。これにより原発の再稼働や事業再編を通じて、30年にわたり年5000億円ずつ資金を捻出する道筋を付けた。同計画は、政府の認定を受けて確定する。

  同日会見した東電HDの広瀬直己社長は、賠償や廃炉などに莫大(ばくだい)な資金の捻出が必要となる中で、「柏崎刈羽原発が果たすインパクトは非常に大きく、経営として再稼働を期待したい」と述べた。再稼働が遅れても廃炉や賠償にかかる費用は確実に捻出することを強調した一方、東電HDの経営再建や脱国有化により時間がかかるとの見方を示した。

19年度末に国関与再検討

  ただし、柏崎刈羽原発の再稼働を巡っては立地自治体の同意が必要となる。新潟県の米山隆一知事は11日の記者会見で、「事業者が再稼働を織り込んだ計画を立てるのは当然のロジックだが、きちんと検証しなければ再稼働は認められないという考えに変わりはない」と述べ、原発事故の原因、健康への影響、避難計画の3つの再検証が必要との考えを繰り返した。同氏は、検証が終わるのは早くとも19年度以降になるとの見通しを示している。

  再建計画には、東電HD株を議決権ベースで過半数を握る原子力損害賠償・廃炉等支援機構による16年度末の東電HDの経営評価の結果も織り込まれ、東電HDには国の継続的な経営関与が必要との判断が明記された。原賠機構は保有比率を2分の1以下に減らす判断を先送りし、19年度末をめどに国の関与のあり方を再度検討する考えだ。

  最終的に政府は保有する東電HD株すべてを売却し、立て替えている除染費4兆円を回収する方針。それを実現するためには、現在7500億円にとどまっている東電HDの時価総額を10倍の7.5兆円に上げる企業価値向上策が必要となる。再建計画では、中部電力と共同出資会社JERAを設立した燃料・火力事業に倣い、原子力事業や送配電事業でも20年度以降に他社との共同事業体を設立し、再編を進めることで企業価値の向上を目指すとした。政府は共同事業体からの配当や同株式の売却などでも資金回収を検討する考えを示した。

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