ラーメン「一風堂」の力の源HD、海外出店を積極化-増益見通し

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  • 今後3年間の出店「アメリカが最重要」、6月には西海岸-清宮社長
  • 決算発表後に株価は一時前日比23%高、上場直後以来の上げ幅

ラーメン店「一風堂」を国内外で展開する力の源ホールディングスは、海外で高まるラーメン人気を取り込み成長につなげるため、今期(2018年3月期)は海外で前期の2倍以上となる20店舗超の出店を予定している。増収増益となる今期の業績予想も発表した。

一風堂の「赤丸新味」

Photographer: Shiho Fukada/Bloomberg

  清宮俊之社長は9日のインタビューで、6月をめどに米国西海岸に出店するなど、今後3年間の出店計画は「アメリカが最重要」との考えを明らかにした。米国の中華料理レストランチェーン最大手との合弁会社を通じて6月以降にカリフォルニア州バークレーとサンフランシスコで一風堂のチェーン展開を進める考えで、現地での反響を見ながら店舗数を増やす。

  同社は25年に国内と海外でそれぞれ300店舗まで拡大する目標を掲げている。3月末時点では国内で133店、海外では米国、フランス、シンガポール、中国などで65店を運営。4月にはミャンマーにも出店した。海外では現在の店舗数の約4.5倍までと、国内を上回るペースで増やすことを計画している。

  清宮氏は西海岸での出店について、ダイニングやフードコートなど異なる形態で店舗を展開するニューヨークとは違い、「フォーマットを決めて、いろんな所に、より多くの人に味わっていただけるような展開にしたい」と述べた。同社はこれまで進出先の国や地域に合わせたメニューや店舗の形態を模索しながら海外展開を進めてきた。箸を使う文化がない欧米では麺の長さを短くしたり、イスラム圏では豚肉を食べない戒律に配慮してスープの原材料を変えたりするなど、工夫を凝らしているという。

IPOで経営の透明性強化

  同社は3月21日に新規株式公開(IPO)を実施。IPOでは約4億円を調達したが、これは成長投資に向けた資金調達というよりも、経営の透明性強化や人材確保のためという側面が大きいという。

  清宮氏によると、海外出店では初期投資が1店舗あたり最大2億円程度が必要になる。新規出店のための資金調達が必要になった場合には増資や社債発行が選択肢に入るとしたが、現時点では今期中の店舗への投資分も含め具体的な検討は進めていないと話した。

清宮社長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  同社が上場した3月21日に株価は高騰し、初値が付いたのは翌日になった。初値は2230円で公開価格の3.7倍。同社は12日に前期(17年3月期)の決算を発表。好調な決算を踏まえて同日の株価終値は2351円と公開価格の4倍近くまで買われた。清宮氏は「期待値で株価を付けていただいているが、それにはまだ応えられていない」と述べた。ブルームバーグのデータによると、同社の現在の予想株価収益率(PER)は65倍と同業種の平均値31倍を大きく上回っている。

  同社は12日に前期の決算を発表。営業利益は前の期比21%増の6億円、売上高は7.5%増の224億円となった。清宮氏は9日のインタビュー時に、同社の利益が売上高に比べて小さいのは、新規出店などに向けて「だいぶ先行投資をしている」ためと指摘した。

  同時に発表した今期の業績予想によると、営業利益は前期比36%増の8億円、売上高が12%増の251億円となる見通しだ。これまでは損益面で課題があった欧州で通期の営業黒字化が見通せる状況になったことや、前期にあった新規事業の先行投資コストがなくなることが寄与する見込みだ。

  さらに増配についても発表。前期の配当は従来1株当たり5円としていたが、上場記念配当を実施し同6円にする。今期の年間配当予想については同8円とする方針を示した。発表を受けて同社の株価は一時前日比23%高まで上昇した。

  清宮氏によると、25年に300店舗という目標は「ゴールではなく通過点」。将来的には料理教室の運営など「世界中を元気にする、お店の業態とは違うものを世界に展開していきたい」と考えている。

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