アディダスの販促奏功、70歳元テニス選手の復刻スニーカーが大ヒット

アディダスは、主に流行に敏感な十代の若者や都会人にアピールすることで、スニーカーの販売数を毎年4000万足増やし、2020年までに5億足超とすることを目指している。この取り組みの中心となっているのは、引退した米国のテニス選手の名前が付いたスニーカーだ。

  そのスニーカーとは「スタンスミス」。最初に発売されたのは、現在70歳のスタン・スミス氏がテニスの4大大会(グランドスラム)の2度目であり最後ともなったシングルスでのタイトルを獲得する前年の1971年だ。郊外に住む父親層に好まれる人気衰退ブランドだったスタンスミスは、緻密に計算された販売促進キャンペーンのおかげで、ファッション通の必須アイテムとなり、マーケティング史上で最大級のカムバックを果たした。

アディダスのスニーカー「スタンスミス」

Source: Adidas

  アディダスは5年ほど前にスタンスミスのてこ入れを計画していたが、販売促進に向けた最初のステップは直観に反するものだった。同社は2012年にスタンスミスを市場から引き揚げ、消費者はその動きが永遠のような印象を受けた。13年半ばまでにはスタンスミスを入手することがほぼ不可能となったため、ファンから憤りの手紙が届くようになり、スミス氏やアディダスのブランド戦略・事業開発責任者アーサー・ホールド氏のチームの一部からこの計画が賢明なのか疑問視する声も上がっていた。

  その年の後半、アディダスはスタンスミスの新バージョンを歌手のエイサップ・ロッキーや、デザイナーのアレキサンダー・ワン、トーク番組司会者のエレン・デジェネレスら、これまで一緒に仕事をしたことがある多数の著名人に送付した。

  この作戦が実を結んだのは13年11月だった。フランス版ヴォーグ誌に、裸に白いソックスとスタンスミスを履いただけのモデルのジゼル・ブンチェンの写真が掲載された。アディダスはこれとほぼ同時期、俳優やスポーツ界のスターが出演する2分間のウェブ動画を公開。スミス氏はこの中で「私はシューズだと思われている」と嘆き、息子に「お父さんにちなんでこのシューズが名付けられたの?それともお父さんがこのシューズにちなんで名付けられたの?」と聞かれたエピソードを紹介した。

  アディダスは売上高を16年の193億ユーロから20年に250億ユーロ(約3兆円)余りに拡大することを目指しているが、スタンスミスはこれに大きく貢献している。スタンスミスの販売数は15年に800万足と劇的に増加し、過去40年間の総販売数は5000万足を突破した。

原題:Adidas Spins Marketing Gold With a 70-Year-Old in Nerdy Shoes(抜粋)

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