今期は全社が増益見込む、資源回復や非資源が下支え-商社5社決算

  • 三菱商は4500億円、伊藤忠は過去最高の4000億円の純利益を計画
  • 前期の純利益は減損損失の縮小で各社改善、三菱商が首位を奪還

総合商社5社の今期(2018年3月期)の連結純利益は全社が増益を見込む。原油や鉄鉱石など資源価格の回復を見込むほか、安定的な収益源として各社が強化を進めている非資源分野が利益を下支えする。三菱商事が4500億円の純利益を計画し、伊藤忠商事は2期連続で最高益を更新する見通し。

  三菱商の垣内威彦社長は「減損損失や資産入れ替えに伴う損失など計1370億円の損失を出した上で、前期(17年3月期)に4400億円の純利益を計上できたことは定量的にも評価している」と述べた。今期は原料炭価格の下落を想定し、金属部門などで減益を見込む。一方、船舶事業での減損損失がなくなる機械部門や化学品部門が利益を伸ばし、全体では増益を確保する。

  三菱商に次ぐ純利益4000億円を予想しているのが伊藤忠。岡藤正広社長は「商社2強時代にふさわしい利益水準」と語る。「商社にとっての一番大きなリスクは資源価格が上下することだが、われわれの場合はそれほど大きくない」と指摘。住生活や情報・金融、機械分野などの利益を伸ばし、非資源部門が利益の88%を稼ぎ出す見通しだ。「よほどのことがない限り達成できる」と話した。

  三井物産は鉄鉱石や原油市況の回復による資源分野の利益拡大を想定している。それでも、安永竜夫社長は「資源価格は相当保守的な前提としている」と説明。「これまで手を打ってきた対策が実を結んだ」とし、非資源分野の利益は1400億円と、過去最高益を計上した前期並みの水準を維持すると予想している。20年3月期に資源分野2400億円、非資源分野2000億円の純利益4400億円を目指すとした新たな中期経営計画も発表した。

  住友商事丸紅は資源分野の利益改善がそれぞれ寄与する。住友商は鉄鉱石や亜鉛価格の上昇が貢献すると予想。丸紅は、銅価格の上昇などにより金属資源部門の利益が伸びるほか、エネルギー部門の赤字幅が縮小すると見通している。

成長戦略が重要に

  野村証券の成田康浩シニアアナリストは「全体的に財務体質の改善は一巡してきており、今後は株主資本利益率の改善に向けた利益拡大の成長戦略が重要になる」と指摘。商社各社はここ数年で多額の減損損失を迫られたこともあり、「投資分野を絞り込み、初期段階にある事業への投資など高値づかみにならないような取り組みに注目している」と述べた。

  一方、丸紅は財務基盤の強化を引き続き最優先課題にするとして、新規投資の削減や資産売却による資金回収を進めることなどで負債の削減を一層進めるとの方針を発表。19年3月期の純利益計画を2500億円から2000億円に引き下げた。国分文也社長は「外部の金融環境や資金調達環境は悪化すると想定している」として、他社と比べて見劣りする財務体質の改善に「最優先で取り組む」と述べた。

前期は三菱商が首位奪還

  前期の業績は、前の期に資源分野を中心に減損損失を計上したことの反動もあり、三菱商と三井物の純損益が黒字回復した。伊藤忠は過去最高益を計上した。青果物を取り扱うドール・インターナショナル・ホールディングスの業績が改善するなど食料部門が好調だったほか、中国政府系複合企業の中国中信集団(CITIC)グループからの持ち分法利益が貢献した。ただ、原料炭事業が好調だった三菱商には届かず、純利益で商社トップが再び入れ替わった。

  住友商はチリ銅事業など、丸紅は米国メキシコ湾の油ガス田権益などでそれぞれ減損を計上したが、前の期と比べると減損額が縮小したほか、石炭市況が想定を上回ったことなどから純利益は大きく改善した。

【総合商社5社の業績一覧】


17年3月期実績18年3月期予想
三菱商事4,403(--)4,500(2.2)
伊藤忠3,522(47)4,000( 14)
三井物産3,061( --)3,200(4.5)
住友商事1,709(129)2,300( 35)
丸紅1,554(150)1,700(9.4)

(注:純利益で単位は億円、カッコ内は前期比%、各社国際会計基準)

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