大和証券グループ本社は日本株調査業務を強化する計画だ。これまでの方針を転換し、アナリストランキングを重視する。来年1月から欧州で施行される第2次金融商品市場指令(MiFID2)が証券各社のリサーチ業務に影響を及ぼす見通しの中、体制整備に取り組む。

  大和証Gの中田誠司社長(56)はブルームバーグ・ニュースの取材で、即戦力となるシニアアナリストの外部起用や社内でのジュニアアナリストの育成などにより、上位3社に入る体制を今後2、3年かけて構築する方針を明らかにした。同社は2017年までの5年間は4位か5位にとどまっている。

  欧州連合(EU)の金融・資本市場の包括的な規制であるMiFID2では、透明性向上を目指してリサーチ費用をアンバンドリング(分離明確化)し、トレーディングに支払うコミッションと区別することが求められる。国内外の証券各社は現在、資産運用会社やヘッジファンドがいくら支払う用意があるか打診するとともに、リサーチの質の向上にも取り組んでいる。

  中田社長は2日のブルームバーグとのインタビューで、大和はかつて「1位、2位という時期があったがリストラの過程でランキングよりも実質でいこうと、必要のないところを削減したりしたが、やはりランキングを重視に方向転換」したと述べた。その上で、「機関投資家がどういうフィー体系で対価を払ってくれるか動向を注視していく」と語った。

新規制後の手数料の行方

  日経ヴェリタスが17年3月に公表した会社別ランキングでは、みずほ証券、野村証券SMBC日興証券がトップ3で、大和証Gは5位だった。インスティテューショナル・インベスター誌のランキングでは4位となっている。

  中田社長は、「ランキングは一つのベンチマーク」、現在の大和の立ち位置は「残念」だとし、3位以上を「コンスタントに確保できるよう体制整備することを部門に指示した」と述べた。

  また、MiFID2で証券会社への手数料は下がっていくとの見通しが多い中、中田氏は一概には言えないとの見方を示した。アンバンドリングへの動きを受けて、実際欧州の一部の機関投資家で大和へ支払う手数料が増えた顧客がいるという。手数料は「リサーチセールス・クオリティーをどう評価するかによる」と述べ、リサーチ能力がMiFID2では重要となると語った。

米で新たな共同出資も

  大和証Gは日本株の調査やトレーディングといったマーケット業務の強化に加え、海外での企業の合併・買収(M&A)アドバイザリーなど投資銀行業務の拡充を検討している。中田社長は、米国で、「M&Aのニーズの高い、テクノロジー・メディア・通信などの分野でもっと厚く(ディールを)取っていきたい」とし、マネジングディレクターなどセクターバンカーらの外部からの起用を考えていると述べた。

  また、資本提携している米セージェント・アドバイザーズ社の持ち分を現在の約26%から3分の1以上、相手次第では過半以上に増やす可能性があると述べた。「最大のフィープールであるアメリカでもっと頑張ってやれたらいい」とし、「出資比率を上げるのも一つだ」と述べた。

  さらにセージェントとの合意の上で、新たなM&Aアドバイザリー会社への共同出資を検討していることを明らかにした。「ハードルは高いが、その方がビジネス強化できるのであればそういう選択をすることも十分ありうる」と語った。「年内くらいに手が打てればいい」としている。

営業所倍増、IPOも強化へ

  中田社長は、1兆2000億円規模の大和証Gの時価総額について、「上場企業である以上は意識していきたい」とし、2000年2月にピークだった2兆8000億円を目指したいと述べた。今後5、6年かけて、2000億円規模の税前利益を安定的に出せば、「不可能ではない」との見方を示した。

  個人投資家向けのリテール業務では、AI(人口知能)の導入により人を減らし、システムを効率化して固定費を削減する考えだ。日経平均株価が2万円に上がってくると「相当利益が出てくる」という。国内営業強化のため、現在ある約30の営業所を今後3-5年で60カ所程度に増やす戦略だ。現在10カ所の出店を準備中だという。

  大和は9日、AIによる株価予測モデルを用いて選定した日本株情報を5月よりリテール顧客向けに提供すると発表した。国内上場企業の決算データを解析、独自の株価予測モデルを開発した。過去データによるシミュレーションでは、選定した銘柄の平均がベンチマークを上回る結果になったという。

  投資銀行業務ではIPO(新規株式公開)の引き受けを強化するとしている。同社の公開引き受けの人員は08年のピークから13年にかけて半減し、その後16年にかけてほぼ倍増した。今後は優秀な若手を配置し、育成していく方針だ。また、ベンチャーファンドへの出資を強化し、外部での案件発掘を増やす考えだ。

英語記事:Daiwa to Hire Analysts to Boost Equity Research, CEO Says (1)

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