【コラム】もう一人の仏大統領選の勝者は日銀か

7日投開票のフランス大統領選の決選投票による勝者の一人は日本銀行かもしれない。独立系のマクロン前経済・産業・デジタル相が極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏に圧勝したことで欧州の政治リスクは緩和され、円高要因である円の避難通貨需要は減退しつつある。中立方向に向かう市場の為替ポジション、通貨オプションのボラティリティの低下も為替の安定を示している。ただ、S&P500の下落リスクの高まりを示すSKEW(ブラックスワン指数)は相対的に下げ止まっており、リスクオフ・イベントでの円高懸念が完全に払拭(ふっしょく)されたわけではないかもしれない。

  • マクロン氏の仏大統領選第1回投票での優勢は、対ユーロでの円高傾向を反転させた。
  • ユーロ円の1カ月物の予想変動率は、ルペン氏への支持の高まりとともに一時20%を超えたものの、現在は8%台まで低下している。
  • 米国S&P500株式指数のボラティリティ指数である恐怖指数(VIX)は、過去3年間の底値水準にあり、不確実性の低下を示唆している。ブルームバーグ・インテリジェンスの試算ではVIXが1ポイント上昇すると、避難通貨効果で円は対ドルで0.16%通貨高になる傾向がある。
  • 一方、「株価の大幅下落確率が、大幅上昇確率よりどの程度大きいか」という株価急落のテールリスクを示すSKEW-大きいほどリスクが高い-は、依然、米大統領選前の過去1年間の平均を上回る水準で推移している。
  • 4月20日公表の日銀レビューでは、SKEWがVIXでは捕捉できないリスク認識を捉えている可能性を指摘しており、日銀の次の一手を考える上でも注目される。
  • 足元の円高リスクは緩和したものの、ロス米商務長官が日本やメキシコに対する貿易赤字が3月に急増したことについて「米国はこれ以上耐えられない」とする声明を4日に発表したこともあり、米国の保護主義の高まりによる中長期的な円高・景気減速リスクは、まだ完全に払拭したわけではなさそうだ。

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JAPAN INSIGHT: One Winner From French Election: the BOJ

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