ウォール街の社員健康増進プログラムに思わぬ効果-顧客忠誠心高める

  • INGのフラック氏は積極的なプログラム参加者-顧客も参加できる
  • われわれのプログラムは成長達成という一点に集中-デボア氏

金融機関INGグループで企業セールス担当ディレクターを務めるランス・フラック氏は、月曜の朝に顧客に電話をかけると、まず15分間はフィットネストラッカーの話をする。

  「『土曜日に2万5000歩を達成したんですね』などと話してから、ヘッジ対象はどの資産かとか、どの水準を見ているのか、といった仕事で必要な話に移る。仕事の話だけするよりも、顧客と良い形で打ち解けられる」と同氏は説明する。

  フラック氏は、INGが新たに始めた健康増進プログラムの積極的な参加者だ。ここ数週間、身に付けている同社支給の端末には、エクササイズや体の状態、睡眠について記録される。毎朝、端末上のアプリに食べた朝食の内容を打ち込み、気分に関する幾つかの質問に答える。こうした行動は企業プログラムに参加すれば目新しくないだろうが、顧客にも同様に行動してもらっている点は新しい。

  健康増進プログラムを活用する大半の企業の目的は、健康保険の費用引き下げだが、INGはセールス収入を押し上げるために従業員に健康になってほしいのだ。プログラムにはセールス部門の従業員350人だけでなく、顧客35人もこれまでに参加。従業員が一段と健康になればパフォーマンスも向上するとの考えにとどまらず、顧客忠誠心も高められるとの認識がある。

  INGで金融市場セールスの世界責任者を務めるマーク・ピーター・デボア氏は「われわれのプログラムは成長達成という一点に集中している。コスト節減には関心がない」と明言した。「われわれのビジネス戦略に組み込まれている」のだという。

  INGは、健康な従業員は病気になりにくいだけでなく、業務でより良い結果を残せると考えている。デボア氏はプロの陸上選手がトレーニングに9割の時間を割く点を挙げ、これに対して、金融セールスで働く人々は長時間労働で睡眠不足、ジャンクフードを食べる傾向にあるとして、「大半が9割の時間をパフォーマンスのために費やし、幸運な場合に10%をトレーニングに充てる」と述べる。

  デボア氏は過去3年間、自身が率いるセールスチームのスタッフに知力と感性それぞれを高めるプログラムも受けてもらった。目的は健康増進プログラムと一緒だ。従業員は当初、その効果に懐疑的だったが、3年の間にチームの収入は18%増え、そのうち8割が既存の顧客からの分だった。つまり、顧客の忠誠心向上に効果を上げたのだ。

  フラック氏は「セールス担当には関係強化の共通の絆が必要だ。自分をモルガン・スタンレーやゴールドマン、ドイツ銀行の担当者と差異化するにはどうしたらいいのか。これはそのための素晴らしい方法だ」と言う。顧客から目に見える反応があるほか、自身も気持ちが良く、「運動して体が引き締まり、気持ち良く感じると、考え方にも影響する。毎日、少し自信を高めて出社できる」と話している。

原題:Wall Street Wellness Programs Are Now Used to Drive Sales(抜粋)

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