鉄鋼3社の前期(2017年3月期)連結決算が28日、出そろった。製鉄原料となる石炭価格が急騰し、鋼材販売価格から原料費を差し引いた利ざやにあたるスプレッドが軒並み悪化した。新日鉄住金JFEホールディングスでそれぞれ1000億円規模の経常減益要因となるなど、スプレッドの悪化によって3社合計では2200億円規模の経常利益押し下げ要因となった。

  新日鉄住金が同日発表した前期純利益は前の期と比べて10%減の1309億円と3期連続の減益となった。海外グループ会社の損益が好転するなどして会社予想の純利益800億円は上回ったが、スプレッドの悪化が響いて製鉄事業の経常利益は前の期に比べて220億円減少した。

  JFEHDの純利益は原料炭の在庫評価益や株式売却益の計上もあり前の期比で2倍となったが、岡田伸一副社長は「16年秋以降の急激かつ大幅な原料炭価格の高騰の影響が大きく、実質的に非常に厳しい状況が継続した」と振り返った

  両社とも鋼材価格の値上げに取り組んでいるが、原料炭価格の急騰に販売価格の値上げが追い付いていない状況。指標となる原料炭のスポット価格は昨年4月に1トン当たり100ドルを下回っていたが、中国政府が石炭鉱山の操業日数を制限したことなどで11月には300ドル台に乗せた。今年に入り150ドル程度にまで下落したが、オーストラリアを襲ったサイクロンの影響で4月に入り再び急騰した。

  神戸製鋼所の鉄鋼事業の経常損益は295億円の赤字(前期は149億円の赤字)だった。スプレッドの悪化に加え、製鉄所の高炉改修の一時費用を計上した。また、中国での建設機械事業において貸倒引当金341億円を計上したことで純損益は230億円の赤字(前期は216億円の赤字)となった。

  今期(18年3月期)の業績予想については新日鉄住金とJFEHDの2社が発表を見送った。豪州でのサイクロンの影響で鉱山現場から輸出港を結ぶ鉄道線路が被害を受け、完全には復旧していない状態で、原料価格や鋼材価格の動向が不透明なためと説明している。

  新日鉄住金の栄敏治副社長は、鋼材価格値上げによるスプレッド改善や日新製鋼の子会社化に伴う利益増などを見込むとして「前期を大きく上回る増益を目指して諸施策に取り組んでいきたい」と述べた。

  JFEHDの岡田副社長も「国内外の鉄鋼需要は回復基調」と指摘。「17年度上期において目標に掲げた値上げを完遂することに傾注し、実質的な利益拡大を図る」と述べた。神戸製鋼の梅原尚人副社長は「一定の想定の下でスプレッド改善を織り込んだ」と説明。高炉改修費用や貸倒引当金の計上といった一時的な費用がなくなることから3期ぶりの黒字転換を見込む。

【鉄鋼3社の業績】


売上高経常利益純利益
新日鉄住金46,329(-5.6)1,745(-13)1,309(-10)
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JFEHD33,090(-3.6)847(32) 679(102)
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神戸製鋼16,959(-7)-191(--)-230(--)
18,700(10) 500(--) 300(--)

(注:単位は億円、カッコ内は前期比%、上段が17年3月期実績、下段が18年3月期予想)

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