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自民・河野氏:日銀は異次元緩和の出口を語れ、長期化するほど困難に

  • 黒田総裁の記者会見を見ても、市場との対話は行われていない
  • 日銀が言っていることは実現しておらず完全におおかみ少年に

自民党の河野太郎行革推進本部長は、日本銀行がバランスシートを膨らませ続ければ、異次元緩和からの出口は「加速度的に難しくなる」とした上で、「直前になって実は津波が来る」という事態に陥らないためにも、早い段階で出口戦略を市場と共有すべきだという見解を示した。

  同本部は19日、日銀の金融政策について「出口戦略を議論することは時期尚早の意見もあるが、少なくとも事前にリスク等を分析し、市場と対話を図ることは必要」とした提言を官邸に提出した。「出口戦略の要諦は市場とのスムーズな対話」であり、米連邦準備制度理事会(FRB)もさまざまな配慮を講じていると指摘している。

  河野氏は28日、ブルームバーグとのインタビューでその狙いについて、「日銀の納付金が減少したり、なくなったりすれば、財政に影響がある。債務超過になっても放っておいて大丈夫と言う人もいるが、まったくゼロリスクというのも考えにくい」と指摘。「いきなり債務超過と言われても、そこで発行する国債をまた日銀が買うという議論になったら、わけが分からなくなる」と語る。

  黒田東彦総裁は27日の会見で、提言を「承知している」としながらも、米国と同様、「出口に差し掛かった時に適切なコミュニケーションを取ることになろう」と言明。「具体的なイメージを持って今から議論するのはやはり時期尚早」と従来の見解を繰り返した。河野氏は「日銀に求めているのは市場との対話だが、昨日の会見を見ても行われているとは思えない」と語る。

目標達成前の撤収も

  日銀は2013年4月、就任間もない黒田総裁の下、2年程度を念頭に2%の物価目標を実現するとして、大規模な国債買い入れを柱とする異次元緩和に踏み切った。昨年9月、操作目標をマネーの量から金利に切り替える長短金利操作を導入した後も、年間約80兆円(保有残高年間増加額)をめどとする巨額の買い入れを続けている。しかし、足元の物価は依然停滞しており、2%達成のめどは立っていない。

  河野氏は「先に行けば行くほどバランスシートが大きくなり、出口の波は高くなる。2%の物価目標で得られるものと出口のリスクを常に比較し、これ以上進むとあまりに波が高くなり、船がひっくり返りそうだというのであれば、その前に出るという判断もあるだろう」と指摘。出口を議論するということは「最終的には2%の物価目標をどうするのか、という議論につながってくる」と語る。

  国民にとっても、「出口のリスクは分かったが、やはりデフレ脱却は大事だから日銀は頑張れと言うのか、いやちょっと待ってくれ、それはおかしいではないかと言うのであれば、ネオアベノミクスに移行しなければならない」と言明。「日銀が一人で勝手に踊っていますから、皆さん見ててください、というわけにはそろそろ行かなくなってきている」と言う。

  河野氏は個人的な意見と前置きした上で、日銀が2%の物価目標にこだわるあまり、「精神論に陥っているのではないか」と指摘。「結局、結果は出せなかったが、では次の総裁が政策転換をすればいいのではないかと思っているのか」と黒田総裁の内心を忖度(そんたく)した上で、「それならそれで、次の人に残すマイナスの責任は、ある程度黒田総裁が背負わないといけない」と語る。

  さらに、「ぎりぎりまで頑張って断崖絶壁まで来て、私はここで終わりですが、次の人は断崖絶壁から前に進んでくださいというのは、日銀総裁としていかがなものか。このまま走ったら絶壁だというなら少なくともブレーキは踏むべきだ」と言う。

「願望リポート」

  日銀は27日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、17年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しを(政策委員の中央値)を前年比1.4%上昇と1月時点(1.5%上昇)から引き下げたものの、修正幅がごく小幅にとどまったことで、エコノミストの間からは「夢と現実がかい離した願望リポート」との批判も上がっている。

  河野氏は「私は専門家ではないので感覚でしか分からないが、本当か、という感じがする。日銀が言っていることは全く実現しておらず、一般の人から見れば完全におおかみ少年になっている」と言う。

  さらに、「市場がもし願望リポートだと思っているのだとすると、日銀そのものが信頼されていないということになる」と言明。「日銀に対する信認がなくなると、どこかで円の信認に波及し、いきなり円が売られたり国債が暴落したり、何かが引き金になりそういうことが起こるのではないか、正直怖い」と語った。

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