債券自警団は虎視眈々か、トランプ政権の税制改革で債務増加にらむ

  • 財政赤字への影響無視する税制革案、道のりは長い-ゴールドマン
  • タームプレミアムには債券自警団が復活する兆候見えず-ヤルデニ氏

トランプ米政権の税制改革案は連邦財政赤字への影響を無視する内容で、長らく活動休止状態にあった「債券自警団」の関心を引くことは確実だ。

  かつて放漫財政を抑え込む投資家として恐れられた債券自警団は近年、世界各国の中央銀行による大量国債購入を背景にその力を誇示できずにいたが、今こそ復活の時かもしれない。米金融当局が米国債保有の縮小を議論している上、政権の税制改革計画で経済成長見通しが実現しなければ、財政赤字穴埋めのための借り入れ増加につながる可能性もあるからだ。

  オバマ前政権下の2期8年で市場性のある米国債が2倍強の14兆ドル(約1560兆円)近くに増えているだけに、債券市場が選挙で選ばれた役職者に圧力をかけるという考えにはもちろん疑問の声もある。さらに、トランプ政権の財政政策を加味しなくても公的債務は向こう10年で再び2倍近くに膨らむと、議会予算局(CBO)は推計している。マルバニー行政管理予算局(OMB)局長は先週のブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「赤字が議論のけん引役ではない」と述べている。

  ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは27日付のリポートで、「ホワイトハウスは楽観的な成長見通しを頼りにして、財政への減税案の影響の大部分が打ち消されるとしているようだが、議会はそうはできないだろう」と指摘。「議会共和党の間で減税に寛容な姿勢が見られるのは、減税が税収中立の改革よりも見込みがあることを示唆している。道のりは長いとわれわれは予想する」とコメントした。

  税制改革案の議論が進む中で債券自警団が復活したかどうかを見極めるために注目すべき指標を以下に挙げた。

タームプレミアム

  

  
  「債券自警団が今、警戒の兆候を見せていないのは明らかだ」と話すのは1970年代から債券市場を追跡してきたヤルデニ・リサーチのエドワード・ヤルデニ社長だ。同氏は80年代にインフレを誘発すると見なされる金融・財政政策に抗議して債券売りを仕掛ける投資家を「債券自警団」と命名した。

  こうした状況を最も反映しているのは10年物タームプレミアムだろう。過去50年を振り返ると、タームプレミアムはほとんどプラス圏で推移していた。ただトランプ氏の当選後に一時的にプラス圏になった後は、再びマイナスに転じており、投資家が近い将来、利回りを押し上げるようなリスクを想定していないことが示されている。

  政府債務の増大が再び注目を浴びる状況になれば、タームプレミアムは過去50年の平均である1.81ポイントに戻ると考えられる。

利回り曲線

  短期と長期の米国債の利回り差(スプレッド)も同じ状況を物語っている。

  ヤルデニ氏は「利回り曲線は景気サイクルの指標として顕著な一貫性がある。利回り曲線を引き続き注視する必要がある。もし逆イールドとなれば、過去の事例と同様、リセッション(景気後退)入りが近いか差し迫っているシグナルになる」と指摘した。

  リセッションは別として、利回り曲線は投資家が近い将来のインフレリスクをあまり想定していないことを示している。また、今後数年の金利の大幅上昇が見込まれていないことも映している。

原題:Bond Vigilantes Lie In Wait as Trump Tax Plan Seen Swelling Debt(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE