債券トレーディング収入は不安定になりがちであり、それは普通のことだ。しかし、米銀ゴールドマン・サックス・グループの1-3月(第1四半期)の債券トレーディング実績は、期待外れの度合いが何か通常とは異なっていた。

  ゴールドマンは一般にお金になるこのビジネスについて最強集団といえるが、今回は主要米銀で唯一、債券トレーディング実績がアナリスト予想に届かなかった。取引高が記録的水準に達し、他行が著しく強い分野として言及したことを考えると、クレジットトレーディングが特に弱かったという説明は、ほとんど意味をなさない。

  ブルームバーグ・ニュースの記者が24日の記事で、本当の理由を明るみに出した。ゴールドマンのトレーダーらが、米石炭会社ピーボディー・エナジーや公益事業持ち株会社エナジー・フューチャー・ホールディングス、宝飾品販売のクレアーズ・ストアーズを含む特定のディストレストクレジットに多額の投資を行い、失敗したというのだ。

  ゴールドマンのトレーダーらは、大胆な投資を行う裁量の余地が他の大手行と比べて大きいと広く信じられており、今回明らかになった話は、そのような印象をもっぱら強める結果となった。同行のトーマス・マラフロンテ氏がジャンク(投機的格付け)債の取引を通じて、2億ドル(現在の為替レートで約223億円)余りの利益を昨年どのように稼いだか、思い出してほしい。相当なリスクテークを行わずにどうすればそれができたというのだろうか。

  このことは、2008年の金融危機後に導入された銀行規制をどこまで縮小すべきかという現在の活発な議論をわれわれに思い起こさせる。特にいわゆる「ボルカー・ルール」の撤廃を求める声がアナリストや政治家の間で高まっており、銀行の自己勘定取引を制限するこの規制は米国の銀行システムから流動性を奪い去り、施行が極めて困難だと国際通貨基金(IMF)当局者も最近指摘した。

  これらの取引規制の一部存続をなぜ銀行や投資家が求めていくべきなのか、ゴールドマンの1-3月の債券トレーディング実績は、その理由を説明してくれる。同行の関連収入の前年同期比の伸びがわずか1%にとどまったが、JPモルガン・チェースは17%、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は29%それぞれ増加した。

  ゴールドマンのビジネスの構成は、他の大手銀行とは幾分異なっている。同行はヘッジファンド顧客に対応する割合が大きく、より多額でリスクの高い投資を可能することで顧客のために価値を生み出したいと考えても不思議はない。だが、投資家は正確性が高い適時の価格設定情報が得られるソースを求め、今やかつてないほど多くの情報を持っており、大手銀行のトレーダーは、金融危機前に比べて不利な立場に置かれている。

  市場を動かさずにジャンク債の取引量を増やすことは、大方の話では一層難しくなっており、銀行規制が犯人だというのは、もっともらしい説だ。けれども大規模な投機的ポジションテークに銀行が戻ることを容認しても、必ずしも解決にならないだろう。こうした慣行は、金融システムにシステミックリスクをもたらすだけでなく、ゴールドマンが実際に示したように信頼性を欠くビジネスモデルにもなり得るからだ。

  (このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)

原題:Goldman’s Debt-Trading Miss Makes Case for Volcker Rule: Gadfly(抜粋)

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