ホワイトハウスが米史上「最大の減税」案の概要公開

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  • 所得税の最高税率を現行の39.6%から35%に引き下げ
  • 源泉地国課税主義への移行や代替ミニマム税・遺産税廃止も提案

ホワイトハウスは26日、税制改革案の骨子を公表した。当局者らが「米史上最大の減税」と呼ぶこの税制改革案には企業や中間層、一部の高所得者に恩恵をもたらす減税が盛り込まれているが、財源をどう賄うのかについての答えは示されていない。

  コーン国家経済会議(NEC)委員長とムニューシン財務長官がホワイトハウスで公表した税制改革案の骨子には、法人税率および、小規模事業や全ての規模の共同経営会社を含むパススルー事業体の税率の15%への引き下げが盛り込まれた。米企業が海外に保有している利益約2兆6000億ドル(約290兆円)に対する1回限りの課税も提案。また源泉地国課税主義への移行により企業の国外での所得に対する課税をなくす方針。現在米国では、法人所得について、発生した国や地域にかかわらず課税している。

ムニューシン氏(右)とコーン氏

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  個人所得税に関しては、税率区分を現行の7から3に減らし、最高税率を現行の39.6%から35%に引き下げると提案。また年間所得が20万ドルを超える個人への3.8%の純投資所得税のほか、代替ミニマム税(AMT)と遺産税を廃止する方針。

  その一方で、州税や地方自治体税の納付額を連邦所得税の控除対象とするのを取りやめる計画で、これはニューヨークやニュージャージーなど税金が高い州の高所得者に打撃となる。税制案で残される項目別控除は住宅ローン利子と慈善寄付金だけだ。

  ムニューシン長官は26日、「われわれはできるだけ迅速に動き、年内に実現させる決意だ」と語った。

  パススルー事業体の構成員所得への税率を15%にする案は、個人事業主やヘッジファンドのほか、トランプ大統領自身のビジネスなど多くの事業にとって大幅減税となる。現行税制では、パススルー事業体そのものは課税されず、構成員が受け取る所得に応じて個々に納税している。

不透明

  この税制案で減税分が将来的に賄えるかどうか、現時点では不透明だ。ムニューシン長官らは経済成長を十分に促すため、減税コストをカバーできると主張しているが、エコノミストは疑問を呈している。

  ムニューシン長官は記者会見で「これは米国史上最大の減税、最大の税制改革になるだろう。われわれはこれを最後までやり遂げる覚悟だ」と語った。

  しかし同案の詳細が明らかになってないことから、経済への影響の予測は難しい。タックス・ファウンデーションの連邦プロジェクト・ディレクター、カイル・ポマロー氏はツイッターで、「これではモデル化できない。詳細が全く不足している」と指摘した。

議会

  またこの減税案は議会で民主党から反対を受けることは確実だ。共和党内でもどのように財源を賄うかについて意見が割れている。上院共和党は、財政調整措置と呼ばれる手続きを利用して税制法案を単純過半数の賛成で可決させる可能性がある。だが、その措置を利用した場合、赤字を拡大させる法案は成立後10年で必然的に失効することになる。

  ムニューシン長官は上下両院の議員は、法人税や中間層減税、景気刺激策に関してはホワイトハウスに同意していると述べた。

  ライアン下院議長は26日、記者団に、「われわれは全ての細部を見たいが、財政調整措置が望ましいプロセスであり、税制改革の実行に最も合理的なプロセスだと考える」と語った。共和党のマコネル上院院内総務は25日、民主党が税制案に関与するとは期待していないと述べた。

  民主党のシューマー上院院内総務は高所得層に減税措置を与える税制案には反対すると言明した。

原題:White House Unveils Opening Bid for ‘Biggest Tax Cut’ (2)(抜粋)

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