米IBMは25日の年次株主総会で、ジニ・ロメッティ最高経営責任者(CEO)の報酬パッケージ3300万ドル(約36億2300万円)相当の承認を求める。CEO報酬としてはただでさえ巨額だが、それが5年前の就任以降に売上高が減り続け、株主トータルリターンを0.1%に満たない会社にしているCEOの報酬額となれば、なおさらだ。

  しかもこの額は、実際の報酬より50%前後も控えめに示されている可能性がある。その原因は、IBMによる株式オプションの評価方法にある。

  議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズ(ISS)によれば、ロメッティ氏の2016年報酬パッケージは5000万ドルを上回っている可能性がある。同氏に株式オプションが付与された当時の評価額の独自見積もりを基に算出した。また、オプション付与後のIBM株価の上昇を加味したブルームバーグの独自試算によると、同氏の報酬は6500万ドル相当となり、会社公表額の2倍近くに達する。

  会社公表額と実際の受け取り額の隔たりは、複雑でときに曖昧な数字が絡む株式オプション評価の一貫性のなさを示している。一部の前提がちょっと変わっただけで、当局への届け出に示される報酬額が実際より少なく見えるケースはあり得る。それ自体は合法かつ、よくあることだが、ロメッティCEOの場合はちょっとした驚きとなっている。

  IBMによるロメッティ氏のオプションの「評価は非常に異例だ」と指摘するのは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院のジョン・コア教授(会計学)。「当然、こうしたモデルには適度な自由裁量があるが、これはかなり極端なケースのようだ」と述べた。

  IBMの広報担当エド・バービニ氏は同社のオプション評価方法について、一般会計原則(GAAP)および米証券取引委員会(SEC)規則に準拠し、過去10年以上変更していないと説明。ロメッティCEOや報酬決定に関与した取締役に関しては、コメントできないと述べた。IBMの監査法人、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)もコメントを控えた。

  IBMは、ロメッティ氏に対して16年1月に1度限りのべースで付与した150万株の株式オプションを1210万ドルと評価。これが基本給やボーナス、株式で構成される通常報酬約2100万ドルに加わった。IBMはオプション評価の前提を一切公開しておらず、ブルームバーグの公開要求にも応じなかった。

  この株式オプションのIBM評価額について、ISSは独自に見積もる「適正価値」2900万ドルを6割近く下回るとして問題視。このギャップは、株式オプションを16年に付与したS&P500種銘柄企業の中で最大だと指摘し、株主らに報酬パッケージに反対票を投じるよう勧めている。

原題:IBM Says CEO Pay Is $33 Million. Others Say It Is Far Higher.(抜粋)

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