フランスの有権者は5月7日に実施される大統領選の決選投票で、中道・独立系のマクロン前経済・産業・デジタル相、あるいは極右のルペン国民戦線(FN)党首のどちらかを次期大統領に選出することになる。この選択は「フレグジット」すなわちフランスの欧州連合(EU)離脱を支持するかどうかについて意思表明の機会となる可能性がある。

  2人の大統領候補は、経済とEU、そしてユーロを巡り意見が対立しており、世論が高度に二分される中で2週間の選挙戦が再びスタートする。BIエコノミクスはマクロン氏が勝利すると予想し、決選投票に関する世論調査で同氏が大きくリードしていることを踏まえれば、フレグジットのリスクは比較的小さいと投資家は考える可能性が高い。

  マクロン氏とルペン氏は欧州を含む多くのテーマで意見を異にしており、2人の決選投票進出が確実となったことで、フランスの有権者は厳しい選択を迫られる。ルペン氏がユーロ圏の解体を望んでいるのに対し、マクロン氏は逆に強化を目指している。

  フランス国民の大多数はEUとユーロ圏への残留を希望している。ユーロバロメーターの2016年10月の調査結果によれば、ユーロがフランスにとって「良い」と53%が回答し、37%の「悪い」を上回った。

  第1回投票では大いに物議を醸す見解を持つ者も11人の候補者に含まれ、有権者には批判票を投じる余地があった。しかし2つの選択肢しか残されていない決選投票では、選挙のダイナミクス(力学)は大きく異なり、有権者の判断は今や種々の問題に一層集中するに違いない。最終候補の2人はいずれも減税を実施したいとしているものの、ルペン氏が公共支出の拡大を公約する一方、マクロン氏は削減を目指す考えを示している。

  また、第1回投票の前に実施された世論調査で、ルペン氏が決選投票で勝利する見通しを示す結果が、誤差の範囲でさえ一つもなかったことに留意することも極めて重要だ。ルペン氏は02年の大統領選でシラク元大統領と争った父親のジャンマリー・ルペン氏と同様、いわゆる共和戦線の重さ、つまり第1回投票の敗者が団結し、自分の対立候補を応援する可能性を十分に感じているかもしれない。ジャンマリー氏が決選投票に進出した02年の大統領選では、左派が協力したことでシラク氏が圧勝した。

  5月7日の決選投票がどのような結果になろうと、次期大統領は改革政策に着手するまで少なくとも1カ月待つ必要がある。6月の議会選挙で国民議会(下院)の顔触れが新たになる見通しであり、フランスの大統領が上下両院を掌握せずにできることはほとんどない。ルペン氏が当選したとしても、同氏率いるFNの議席が下院577議席中2つしかないことを考えると、議会選挙もフレグジット政策の推進を妨げる大きな障害となりそうだ。

原題:FRANCE REACT: Less Nail Biting Ahead as Frexit Risk Subsides (1)

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