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みずほ銀の新頭取、クロスボーダーM&A強化へ-フィンテックにも力

更新日時
  • グローバルなブルーチップ企業のM&Aニーズに対応-藤原頭取
  • NYに続きロンドン、香港、シンガポールから産業調査・事業提案

みずほフィナンシャルグループは、クロスボーダー型の合併・買収(M&A)の助言業務を強化する。ニューヨークやロンドンなど世界4極に産業調査と事業提案を手掛ける部署を構築するほか、M&Aを模索する企業へのアプローチを指揮する担当役員を新たに配置して案件の獲得を目指す。

  1日付でみずほ銀行頭取に就任した藤原弘治氏(55)がインタビューで明らかにした。藤原頭取は世界的な低金利の環境下では手数料など非金利収入の増強が重要になるとの認識で、その一環として「グローバルなブルーチップ企業のM&Aニーズにも対応していく体制を構築する」と述べた。M&A案件に絡むことで融資や債券発行など他の収益獲得も期待できるという。

  クロスボーダーM&A業務の強化では、まず4月に同ビジネスに精通した国際担当役員2人を登用した。産業調査と事業提案を行う部署は、すでに稼働している米州に続き、欧州、アジア・オセアニア(シンガポール)、東アジア(香港)の4極に設置する計画。人員は米州の80人に加えて、ほか3極に合計55人を配置する考えだ。

  みずほFGは2019年3月までの中期経営計画を推進中で、世界の優良な非日系企業300社との取引を掲げている。セクター別では、メディア・テレコムやヘルスケア、消費財など再編が活発な業界に注力する方針。昨年は米通信大手AT&Tによる米タイムワーナーの総額854億ドル(約8兆8650億円)の買収案件で、みずほFGはシンジケートローン組成で共同主幹事を獲得した。

  藤原頭取は取引先回りなどから「次の一手にクロスボーダーのM&Aで成長を考えている先が多い」と語り、案件獲得の拡大に手応えを感じているという。具体的な営業推進にあたっては「新たに登用した担当役員が4極の調査・提案組織を指揮し、国際的な産業再編を追っていく」と述べた。

フィンテックJVは今夏スタート  

  藤原頭取は、金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックについて「今年度は研究フェーズから実用に移行する転換の年になる」と指摘。昨年、ソフトバンクグループと折半出資で設立した合弁会社(資本金50億円)の個人向け(リテール)ローン事業は「5月にブランドを立ち上げ、今夏にもスタートする」意向を示した。

  同事業は、みずほ銀のビッグデータやローン審査ノウハウとソフトバンクの人工知能(AI)を駆使した情報分析を組み合わせて従来の与信審査より応諾範囲の拡大や適正な金利水準の提供を目指すもの。みずほ銀の約2400万口座とソフトバンク約4000万契約の顧客が対象になる。これらはスマートフォンで専用アプリから申し込み、審査、借り入れ情報の管理などが完結できる仕組みだ。

  フィンテックでは、みずほ銀はスマホを使ってクレジットやデビットカード、送金決済が可能な「デジタル・ウォレット」の取扱開始を検討している。藤原頭取はできるだけ早く本格展開したい考えで、今後もデジタル・テクノロジーを駆使した新しい金融ビジネスの創出に意欲を示した。

レガシーコスト

  藤原頭取は海外の金融機関などの買収戦略について、「プライオリティーは高くない」と述べた。買収した銀行が現地にないと海外展開ができないわけではないとし、フィンテックの進展などによって「たぶん物事は変わってくる」とみる。その上で「対面の拠点を過度に持ってしまうとレガシーコストにつながる」との考えも示した。

  みずほFGや三菱UFJフィナンシャル・グループ三井住友フィナンシャルグループなど大手邦銀は、国内の低収益性を補うため海外展開を進めている。拡大にあたっては海外金融機関の買収や出資が有力手段だったが、規制強化の流れや海外融資に必要なドル資金調達のコスト増が課題となっている。

  藤原頭取は、デジタル技術の進展を受けて「アジアでのビジネスをもう一度考える」という。これは海外だけでなく日本も同様で「幅広いテクノロジーの活用によって金融ビジネスを変えていく世界にチャレンジしたい」と語った。

(第9段落以下を追加しました.)
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