債券相場は下落。長期金利は1週間ぶりの高水準を付ける場面があった。欧州の政治リスクに対する過度な警戒感が後退したことなどを背景に世界的に株高・債券安となった流れを引き継ぎ、国内債市場でも売り圧力がかかった。

  21日の長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比4銭安の151円07銭で開始し、いったん151円02銭まで下げた。午後はオペ結果を受けて3銭高まで上昇したが、取引終了にかけて伸び悩み、結局は3銭安の151円08銭で引けた。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「昨日の海外市場はリスクオン。欧州時間から米独債が売られた。仏大統領選挙でのテールリスク・ポジションの巻き戻しがあったとみられる」と指摘。「リスクオンに乗って行くならば定石的にはベアスティープ化だが、実際に弱くなるのは先物から10年辺り。昨日の20年債入札の好調や今日の超長期オペ、来週末から訪れるゴールデンウィークに向けて、キャリープラスロールを取れるポジションを外したくないと言う意識も働く」と言う。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値を0.5ベーシスポイント(bp)上回る0.015%で始まり、その後は0.02%と14日以来の水準まで上昇した。午後は0.01%に戻した。

  20年物の160回債利回りは一時0.5bp低い0.54%と、新発債として昨年12月以来の低水準を付けた。その後は0.55%まで売られた。新発30年物の54回債利回りは一時0.5bp低い0.74%、新発40年物の9回債利回りは1.5bp低い0.94%までそれぞれ低下する場面があった。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「米利上げ観測や国内では物価上昇見通しが続くことで積極的に上値を追う動きは限られるが、下値では押し目買いに動く国内投資家は多いと思われる」と指摘。「日銀の国債買入れオペが続く中、国債を積極的に売却できる投資家は少なくなっており、市場の良好な需給環境は今後も続く」との見方を示した。

  日銀はこの日、今月8回目の長期国債買い入れオペを実施した。買い入れ額は残存期間1年以下が700億円、10年超25年以下が2000億円、25年超が1000億円と、いずれも据え置き。オペ結果では、1年以下の応札倍率が8.89倍と過去最高となった。一方、10年超25年以下が2.68倍、25年超は2.69倍と、ともに前回から低下し、足元の売り圧力の緩和が示された。

日銀国債買い入れオペ結果はこちらをご覧下さい。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッドは、「最近の金利低下は相次ぐ地政学的リスクだけでなく、トランプ政権の実行力に対する疑問符と米景気回復が踊り場入りするのではないかとの観測が重なった結果だ」と説明した。

仏マクロン前経済相
仏マクロン前経済相
Bloomberg

フランス大統領選

  23日に第一回目の投開票を迎えるフランス大統領選挙が注目されている。Ifopの日次の世論調査結果によると、独立系のマクロン前経済相の支持率が0.5ポイント上昇の24%と首位をキープした。このため、反欧州連合(EU)を掲げる候補が勝つことへの警戒感がやや後退し、前日には世界的に株価が上昇し、安全資産と位置づけられる米国債には売り圧力がかかった。

  第一回投票について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「4人の候補者のうち第二回投票に進む二人が誰になるのかが注目。EUからの離脱を訴えるルペン氏、メランション氏という左右両極の候補者が大統領に就任するシナリオが意識される展開になれば、世界的にリスク回避ムードが強まり、週明けの円債市場でも買いが先行することになる」と指摘した。

  三井住友アセットの深代氏は、「決着はまだ先だが、落ち着きかけてきたリスク回避志向が再燃する可能性もあるので注意が必要だ。市場全体としては極度の緊張感は和らぐ方向にあるが、ドイツの総選挙もあって欧州の政治リスクは長引く話だ」と述べた。

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