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三菱航空機社長:東京五輪聖火をMRJで、開発期限の厳守全力

更新日時
  • 6月のパリ航空ショーへのMRJ出展を検討-初の実機展示
  • MRJの新規受注先、「話はある」-シェア半分の獲得目標を維持

三菱重工業傘下の三菱航空機は開発中の国産初のジェット旅客機、三菱リージョナルジェット(MRJ)のANAホールディングスへの初号機納入を、同社による2020年の東京五輪の聖火輸送に間に合わせることを目指している。4月1日付で三菱航空機の社長に就任した水谷久和社長がブルームバーグのインタビューで話した。

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水谷久和社長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  水谷氏は「きちんとした機体を渡せる状態にするため社内的には19年末の完成を目標とし、そこから逆算して現在の設計作業を進めている」と話した。ANAHDの前身である全日空は1964年、開発の遅れでギリギリに納入された国産初の旅客機YS-11で東京五輪の聖火輸送を行っており、次の大会での聖火輸送にMRJを使う場合には同様の綱渡りを迫られる可能性が出てきた。

  ANAHD広報担当の吉岡航氏によると、同社は今回の大会のオフィシャルパートナーとして最大限の協力をしたい考え。MRJによる聖火の輸送については「物理的にできる環境になればぜひとも前向きに検討したいが、現時点で決まっているものは何もない」と話した。

  MRJの開発は難航している。三菱重は今年1月、設計変更を理由に5回目となる納入延期を発表。ANAHDへの初号機の納入は当初の18年半ばから20年半ばに延期されている。最初の納入先で共同開発者でもあるANAHDは25機の購入を契約している。ANAHDはMRJの代替機として米ボーイングの「737-800」を4機リースで調達し、18年度から国内地方都市間の路線で活用する方針を表明している。

採算性は悪化

  水谷氏は「新しいスケジュールをANAにきちんと説明し理解を得ている」とした上で「引き続き期待感も大きく表明してもらっている」と述べた。一方で、遅延に伴う損害補償など契約の内容についてはコメントを控えた。MRJの累積受注は現時点では世界で447機。遅延に伴う新たな納入計画は「全顧客に説明し冷静に受け止めてもらっている」と話した。

  水谷氏は5月の連休中に米国の開発拠点を訪問する予定で、まずは社内開発体制の足元を固める方針。ワシントン州のモーゼスレイクにある開発センターでは、現在4機の試験機が商用運航に必要な型式証明の取得に向け飛行試験に取り組んでいる。水谷氏は遅延に伴って開発費がふくらみ採算性が悪化するとしたものの、具体的な金額については非公開と述べた。

  仏パリ郊外で6月に開催される世界最大級の航空ショーには、MRJの試験機を米国から持ち込んで出展する可能性もあるという。「検討の最終段階だ。米国での試験もあるしメリットとデメリットを勘案して近く答えを出す」と語った。実現すれば航空ショーでの実機展示は初めてとなる。現在開発しているのは約90席クラスで、70席クラスの開発・製造も行う計画。将来的には100席クラスの機種も手掛ける方針。

半分のシェア獲得

  三菱航空はこれまで、今後20年間の60ー100席の小型ジェット旅客機の需要が5000機と試算。このうちMRJが該当する70ー90席クラスは約3500機で、その半分のシェア獲得を目標に掲げていた。水谷氏はこれを踏襲したいとし、開発加速と同時に営業活動についても引き続き注力したいとした。具体的な新規受注先については「話はある」と述べるにとどめた。

   クレディ・スイス証券の黒田真路シニアアナリストは「再度の設計変更などで開発コストが増加し、黒字化が計画より延びるのは間違いない」と指摘。また3500機の需要予測そのものが「ややアグレッシブ過ぎる印象」だという。その上で「納入が遅れることで競合他社に対する技術の優位性が薄れてしまうことを懸念する」と話した。

(最終段落にアナリストコメントを加えました.)
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