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ゴールドマン:再エネプロジェクト債累計10億ドルの目標、年内達成へ

  • FIT制度導入から約5年、市場は落ち着き海外の専業者も参入
  • 太陽光発電事業向けプロジェクト債、東証上場にらみ2回の満期設定

ゴールドマン・サックス証券の組成する太陽光発電など再生可能エネルギー事業の収益を裏付けとしたプロジェクト債の組成額が、年内にも累計10億ドル(約1100億円)に達する見込みだ。国の定める再生可能エネルギーで発電された電力の買い取り価格が引き下げられる一方で、豊富な経験を持つ海外の事業者が日本市場に参入していることが背景にある。

  ゴールドマン・サックス証券の投資銀行部門・資本市場本部の井上徹部長によると、太陽光発電事業の収益を裏付けとしたプロジェクト債の組成額は、2013年からの累計で約310億円。案件の大型化や迅速化により、将来的な目標として15年に掲げた累計10億ドルに17年中に到達する見込みだ。

  再生可能エネルギー由来の電力の固定価格買い取り(FIT)制度における太陽光発電事業からの電力の買い取り価格は、当初12年の1キロワット時当たり40円から足元では同21円まで下落。出力規模2000キロワット以上の太陽光発電案件については、今年度から入札制度に変更されたことで、再生可能エネルギー事業者はより低価格で応札するために、コスト競争力の向上が必須となっている。

  井上氏によると、FIT制度導入から約5年が経過し、厳しくなる環境下でもビジネスができる「専門業者のマーケットになりつつある」と指摘する。また様子見姿勢を示していたアジアや欧州、中東などの海外エネルギー業者も日本市場に参入しており、「日本の太陽光は終わったと考える人たちから、これからだという人たちへと世代交代が起こっている」という。こうした変化を背景にプロジェクト債を活用する動きが広がりつつある。

インフラファンド市場

上場インフラファンドの価格推移

  ゴールドマン・サックス証券は3月、カナダの太陽光発電会社カナディアン・ソーラーが群馬県みなかみ町に建設する約2万キロワットの太陽光発電施設の収益を裏付けとしたプロジェクト債を組成。東京証券取引所のインフラファンド市場に太陽光ファンドの上場を検討するカナディアン・ソーラーのニーズに合わせて1年半と約20年の2回の満期を設けた。

  当初1年半の金利は年約1.29%、その後、最終償還日までは年約1.36%。従来のプロジェクト債に比べて全期間平均の金利は高くなるものの、つなぎ融資に比べて当初の金利は安く、上場しなかった場合にも借り換えリスクがなく継続できるのが特徴だ。

  15年に東証が創設したインフラファンド市場に上場した3ファンドはいずれも公募価格や初値を下回る水準で推移している。井上氏によると、「まだ確立された市場ではない」ため、事業者が上場を選択しなかった場合も視野に入れて2回満期のある商品を考案したところ、インフラファンドの上場を検討する事業者からの「問い合わせが多く、非常にニーズがある」という。

グリーンボンド

  経済協力開発機構(OECD)のリポートによると、調達資金を環境目的のみに使うグリーンボンドの発行総額は15年に全世界で400億ドルで、35年には欧米、中国、日本の主要市場だけでも2兆2600億ドルに膨らむと予想されている。国際資本市場協会は、発行時の自主的ガイドライン「グリーンボンド原則」を定めており、これに基づいて環境省も3月に国内におけるガイドラインを策定した。

  ゴールドマン・サックス証券は、3月に組成したプロジェクト債で第三者機関である日本総合研究所からグリーンボンド原則に適合するとの意見を得た。井上氏は、投資に環境面の目標を定める一部の大手投資家のニーズはあるものの、グリーンボンドに対する日本の投資家の意識は、「海外に比べて弱い」と述べ、今後も継続的に発行して国内での普及に弾みを付けたい考えだ。

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