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ドルは109円前半、米大統領発言で一時200日線割れる場面も

更新日時
  • 一時108円73銭まで下落、昨年11月17日以来の水準
  • 108円の大台で少し踏みとどまるイメージ-ソシエテ・ジェネラル

13日の東京外国為替市場のドル・円相場は約5カ月ぶり安値から反発。トランプ米大統領の発言や北朝鮮情勢など地政学的リスクを受けて一時200日線を割り込んだが、午後には米長期金利の持ち直しなどを背景に1ドル=109円台を回復した。

  午後4時40分現在のドル・円は前日比0.1%高の109円09銭。トランプ発言でドルが急落した前日の海外市場の流れを引き継ぎ、午前11時前には108円75銭を通る200日線を割り込み、一時108円73銭と昨年11月17日以来の安値を付けた。一方、午後はドル買い・円売りが優勢となり、一時109円24銭とこの日の日中高値を付けた。

  トランプ米大統領は、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙との12日のインタビューで、「ドルは強くなり過ぎていると思う」と述べ、強いドルが米企業の競争力を損ねていると指摘。また、来年2月に任期切れを迎えるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長を「好感し尊敬している」と述べた上で、再指名について「極めて尚早だ」と付け加えた。「低金利政策が好ましいと、私は正直に言わねばならない」とも語った。

  ソシエテ・ジェネラル銀行の鈴木恭輔為替資金営業部長は、トランプ大統領の発言は「いきなり出てきたのでショッキング」だったが、日米経済対話など米国のスタンスを確認する機会を来週に控えて、「早晩ドル売りを進めるのは考えにくい」と指摘。ドル・円も「ぐいぐい下に向かっていくというよりは108円という大台くらいでちょっと踏みとどまるイメージはある」とし、北朝鮮情勢などについて「事実の見極めがしばらくは続いていく」と話した。

ドル・円相場の推移

  13日の東京株式相場は3日続落。日経平均株価は一時200円超の下落し、連日で年初来安値を更新した。ただ、午後の取引終盤には下げ幅を縮小し、前日比125円77銭安の1万8426円84銭で取引を終えた。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、トランプ大統領発言について、イエレンFRB議長再任の可能性が最も重要だと指摘。再任の可能性を否定はしていないが「低金利政策をやらないと再任しないという話」で、「イエレン議長が議長職を維持するために低金利政策に動けば、ドル安が進む」との見方を示した。

  トランプ大統領はWSJとのインタビューで、中国は「為替操作国ではない」との見方も示した。村田氏は、「主な目的はドル高是正ではなく、米貿易赤字削減が目標。為替は2国間交渉で優位に立つための駆け引き材料だろう」と説明。中国に関しては、米国の監視リストの3つの基準のうち1つしか抵触しておらず、人民元も買っているため、「以前から為替操作国認定に無理があると思われていた」とし、「中国への融和姿勢はリスクオフを緩和させる」との見方を示した。

  米財務省は近く、トランプ政権で初の為替報告書を公表する見通し。中国が13日に発表した3月の貿易収支は1643億元の黒字となり、市場予想(758億元)を上回った。ブルームバーグ推計によると、1-3月の対米貿易黒字は3421億元。中国人民銀行は同日、人民元の中心レートを前日の中心レートに比べて0.42%引き上げ、1ドル=6.8651元に設定した。引き上げ率は、1月18日以来の大きさ。

  中国が為替操作国として認定されないことに対する市場の反応について、ソシエテ・ジェネラル銀の鈴木氏は、「あまり意識されていなかった。昨日の反応をみても感じる。早晩、認定するのが難しいというのが最初の見方。それくらいハードルが高い」と分析。日本への影響に関しても、「ないと思う。貿易量でいっても日本と中国は比較しようがないくらい開いている」と述べた。

  アジア時間の米10年債利回りは前日とほぼ変わらずの2.24%程度。一時は2.22%前後と昨年11月17日以来の水準まで低下する場面が見られた。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部の吉利重毅部長は、「米10年債利回りが2.3%をしっかり下回る時間帯が続く限り、ドル・円は売り方向の動きが続きそう」と指摘。「もはやリスクシナリオが、トランプ政権が債務問題をクリアし、高官人事も迅速に進めて、さらにオバマケア修正案や税制改革、インフラ投資を順調に進捗させることになってしまっている」と述べた。

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円とドル

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  週末15日に故金日成主席の生誕105年記念日を控えて北朝鮮情勢への警戒感も根強い。12日の商業衛星画像では北朝鮮・豊渓里の核実験場で北側入り口で活動が続いているほか、主な管理エリアで新たな動きがあり、指令センター近辺に人員がいることが示されている、と2人のアナリストが38ノースに寄稿した。

  一方で、韓国合同参謀本部報道官は、北朝鮮に挑発の特別な兆候はないと発表。韓国紙毎日経済新聞報道によると、中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表が14日に北朝鮮を訪問する。

  ロイター通信は、北朝鮮を訪れている外国人記者は13日に「大きく重要な出来事」に備えるよう通知を受けたと報道。その後、同社のジェームズ・ピアソン記者はツイッターで、「大きな出来事」とは新しい街路の開通と伝えた。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.2%安の1ユーロ=1.0649ドル。一時1.0677ドルと1週間ぶりのドル安・ユ ーロ高水準を付けたが、その後反落している。BBHの村田氏は、ユーロは1.06ドル台後半で底堅く動いているものの、市場はフランス大統領選を気にしており、「ルペン候補が勝利する一抹の不安があるので高値を追う感じではない」と述べた。

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