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不十分な金利水準と規制圧力、どうなる国内機関投資家の新年度運用

  • 当面様子見、慎重にという雰囲気から始まっている-日興SMBC
  • リスクは欧州緩和後退や政治的不安、米国の利上げや地政学など..

国内の銀行や生命保険会社、年金基金などの新年度の運用が今月から始まった。昨年度のような日米欧のファンダメンタルズ(経済諸条件)を中心にした世界の景気動向を見据えた投資環境とは違い、欧州の金融緩和後退や政治的不安、米国の利上げ、地政学リスクなどが複雑に絡まる中で投資判断を迫られる難しさがある、と市場関係者はみている。

  「消去法的に、米国の減税や規制緩和、インフラ投資などがタイミングも規模も少しモデレートなものになりそうなのであれば、買いイントは新年度ある程度高まってくると思うが、その一方で含み損を抱えている中ではなかなか」。大和住銀投信投資顧問の国部真二債券運用第二部長は、利回りが相対的に高い米債投資は魅力的としながらも、中途半端な水準で利回り水準がもみ合っている現在の運用環境での取引に慎重にならざるを得ないとみている。

Views Of Currency Exchanges In Hong Kong

香港の為替両替看板

Photographer: Anthony Kwan/Bloomberg

  財務省が10日に発表した3月の対外 ・対内証券売買契約等(約定報告機関ベース)によると、国内投資家の外債投資は買いと売りがほぼ同規模の34兆円台にとどまった。買い越し額の年度比較では、2015年度が16.2兆円だったのに対して、16年度は9.2兆円と大幅に減った。米債は2月まで4カ月連続で売り越し、フランス債にいたっては少なくとも2005年以来で最大の処分になったようだ。

Stock of Japanese Yen and US Dollars Ahead of British EU Referendum Vote

100ドル札と1万円札

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、「ヘッジ米債を買えなくもない。米国か欧州か。欧州の方はヘッジコストなどは安い、長短スプレッドは立っているが、政治リスク、ECB(欧州中央銀行)リスクがある。根本的なビューが皆な金利上昇とみている感があるので、そうすると当面様子見、慎重にという雰囲気から始まっている」と言う。

  以下は国内機関投資家の3業態別の運用見通しだ。   

銀行  

  • 金融庁からの規制的な圧力
  • 16年度は3兆円の売り越しで、13年以来初めて処分超
Long Shadow

  金融庁の遠藤俊英監督局長は3月9日の参院財政金融委員会で、特別検査の対象とされる地方金融機関について、日本の国債の替わりに外債の運用を増やしてきたと指摘。聞き取りでリスク管理態勢の実態が分からない場合には、機動的にモニタリングを展開することを明らかにしている。

  金融庁のリスクが加わると、銀行は外債投資に一層慎重になり、国内債に戻る可能性がある、と4.5兆円の運用を手がけるアムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長はみている。実際、外債運用に対する金融庁の検査方針は投資行動に影響を与えているようだ。5週移動平均の週間対内債券投資は昨年12月に金融庁が国内金融機関に対して緊急調査を実施するとの報道以来、マイナス圏で推移している。

生保

  • 日銀のデータによると、保険会社は外債保有で国内2位の投資家
  • 16年度の買い越し額は7.7兆円と少なくとも05年以来最高も、今年3月は2カ月連続売り越し
  • 生命保険会社は債券利回りの上昇待ち
    Not High Enough

  二ッセイ基礎研究所・年金総合リサーチセンターの徳島勝幸年金研究部長は、「米債は金利上がったところでいけるので、今年の前半はあまり大きな動きは出てこない、淡々と買えばいいだろう。米国の金利が落ち着けばヘッジコストも落ち着く。外債投資のそんなに逆風でもない」と話す。

年金

  • 16年度は2.1兆円の買い越し。15年度は3兆円
  • GPIFは国内債を削減する一方、外債を買い増し

  
  「一番興味があるのは年金」。BNPパリバ証券の井川雄亮金利ストラテジストは、基本ポートフォリオの観点から年度終了の3月末と昨年12月とで主要の金融指数を比較分析した場合、「やはり外債が中心で円債と外株を続けて買うような感じ。短期資産が12月末時点でかなり膨れ上がっているのがポイント。これがどこかで振り替えないといけない。代行返上の動きもまだあるだろうし、構造的なもの。また年金特会からGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)にお金が振り分けられることは往々にしてあるだろう」とみている。

The Power of Five

  井川氏によれば、GPIFを例にとると、5円の円安になると外株と外債を買う余力が減り、その分、国内債に運用資金が移動しやすくなる。「もし6月までの段階でドル・円で円安方向に振れた場合、外債・外株を買う余力は1兆円くらいトータルで減るはずで、その分、国内物に来る」とみている。

  ブルームバーグの市場予測調査によると、ドル・円相場は今年末までに1ドル=117円と、現行の109円前後から円安に向かうと市場関係者はみている。大和住銀投信投資顧問の国部氏は、「年金もいまのところ大きな流れとしては、まだ円債からヘッジ外債というところへのデマンドが一年前ほどでないにしてもそのイントはまだある。一部はヘッジ外債増やそうと考えているところもある。まちまちかもしれないが、一定の買いイントはある」と言う。  

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