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地政学リスク警戒で円が上昇、対ドルで約5カ月ぶりの円高値更新

更新日時
  • 対ユーロで一時116円割れ、対豪ドルでは82円割れの場面も
  • ドル安・円高方向の動き、広めに見る必要も-三菱東京UFJ銀

東京外国為替市場では円が堅調。シリアや北朝鮮をめぐる地政学リスクへの警戒感の強まりを背景に円買いが優勢となっている。対ドルでは昨年11月以来の高値を付けた。

  12日午後4時32分現在のドル・円は前日比0.1%高の1ドル=109円73銭前後。地政学的リスクへの警戒度が高まって米金利低下と円買いが進んだ海外市場の流れを引き継ぎ、昨年11月17日以来となる109円35銭までドル安・円高が進んだ。下落が一巡すると新規材料に欠ける中、前日比横ばい付近まで戻している。

ドル109円35銭まで下落後は持ち直す動き

  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは円高となった理由について、「シカゴIMMの円ショート(売り持ち)を解消するための円の買い戻しと、相場が不安定化する状況下で円高になることが多く、リスクを取れるプレーヤーがお金儲けのために円を買う動きという要因がある」と指摘。一方、「実際にリスクを回避する人が為替リスクを取って円を買っているということではないと思う」と述べた。

  先行きについて、内田氏は「現状くらいの緊張であれば、110円を割れてトランプ氏当選直後の安値から昨年12月高値までの上昇幅の半値押し109円93銭を達したこともあり、しばらく相場はこう着しそう」とみている。

  ただ、北朝鮮情勢の緊迫化やシリアをめぐる米露の対立、不透明感が高まる仏大統領選といった要因が意識されやすい中、ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは「これまで108円から110円の価格帯はドルの押し目買いゾーンと言われていたが、そういうわけにはいかなくなっている」と指摘。NBCフィナンシャルマーケッツアジアのデービッド・ルーディレクター(香港在勤)は、「北朝鮮情勢に絡んだリスクイベント次第では、107円50銭程度までなら、いつ下落してもおかしくない」と言う。

  米政府が米中首脳会談を控えた4月上旬の日米高官協議で、中国の対応によっては北朝鮮への軍事攻撃に踏み切る可能性に言及していたことが11日分かったと共同通信が報じた。

  米海軍は原子力空母カール・ビンソンをはじめとする艦隊を寄港先のシンガポールから朝鮮半島近海に派遣。韓国も北朝鮮が11日開催の最高人民会議や他の祝賀行事に合わせて、より重大な方法で挑発する可能性があるとし、軍と外交当局者に監視強化を指示したことを明らかしており、緊張が高まっている。

  地政学リスクが意識される中で、日経平均株価は300円近く下落する場面があったほか、日本国債の10年物利回りが0.02%と4カ月ぶりの水準まで低下するなど、リスク回避の動きが強まっている。米国の10年国債利回りもアジア時間で金利低下が続き、一時2.278%と7日以来の低水準となっている。

  4月23日に1回目の投票を控えている仏大統領選挙については、極左の左翼党のメランション氏が第2回テレビ討論会後から支持率が上昇。イプソス、Ifops、オピニオンウェイなどの各種世論調査によると、極右のルペン氏とマクロン氏が支持率20%台半ばで並ぶ中、20%弱でメランション氏とフィヨン元首相がほぼ同率でこれを追いかける展開となっている。

  仏大統領選の行方が混沌とする中で、IG証券の石川順一シニアFXストラテジストはユーロについて、「仏政治リスクを背景に下値リスクが意識されている。オプション市場では、1カ月から2カ月物のユーロプット(ユーロを売る権利)の需要が高まっている」と指摘。対円でユーロは115円を目指すのではないかと言う。

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