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日銀のETF売却は不要、経済活性へ永遠に持て-S&PダウCEO

  • 国内ETF市場はおよそ22兆円、3分の2を日銀が保有
  • 出口戦略論議は尚早、株価形成もゆがめていない-黒田総裁

日本銀行はETFを売る必要はないーー。米国の指数算出会社であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのアレックス・マトゥーリ最高経営責任者(CEO)は、市場で取り沙汰され始めた異次元緩和の出口論を一蹴した。日本経済の一層の回復には、中央銀行による刺激策の持続が不可避とみるためだ。

  マトゥーリCEOはブルームバーグのインタビューで、「日銀はETFを清算しなくても良いし、永遠に持ち続けられる。株式は永遠に続く」と発言。日銀による指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れは、「経済を活性化するために行っており、経済に資金を投じる必要がある」との認識を示した。

  日銀は昨年7月の金融政策決定会合で、2013年の黒田東彦総裁就任以来の量的・質的金融緩和策を強化、ETFの買い入れ額を年間約3兆3000億円から約6兆円に増額した。直近の1回当たりETF購入額は725億円(設備・人材支援ETFを除く従来枠)となっている。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、日銀は純資産ベースで現在22兆円あまりの国内ETF市場のうち、3分の2を保有している。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda News Conference

黒田日銀総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  日銀のETF買いはおおむね株価の下落時に入り、相場の下支え役を果たすケースが多い。一方、東証1部の1日当たり平均売買代金が15年の2兆5482億円をピークに16年は2兆2994億円、17年(11日現在)は2兆2346億円と伸び悩む中、日銀の影響力拡大が流動性や価格形成をゆがめるとの懸念も浮上、株安時の日銀のバランスシート悪化リスクは従来に比べ格段に高まった。

  野村証券はことし1月、問題視すべきは日銀の過度なリスクテークで、含み損の可能性が疑われれば、日銀に対する信頼感は低下し、金融政策運営上の自由度も大きく損なわれると指摘。4月会合でETF買い入れ額を1兆ー1.5兆円減額すると予想した。ただその後、米国の経済政策に対する期待感の後退や中東、極東の地政学リスクなどを材料に為替は5円ほど円高に振れ、TOPIXは5%弱下がっている。

  ブルームバーグの調べでは、日銀はETF購入を通じ既に主要企業の間接的な大株主となっており、現状の買い入れペースなら17年末に日経平均株価を構成する225銘柄中、55銘柄で筆頭株主になる可能性がある。この点についてマトゥーリ氏は、「ETFを購入することで議決権とも分けられている」と指摘した。

  日銀がETF購入を続ける背景にあるのは、2%の物価安定目標の存在だ。黒田総裁は4日の衆院財務金融委員会で、ETF購入は目標の早期達成に必要とし、出口戦略の議論は時期尚早で、株式相場の価格形成をゆがめていないと発言。同日公表された企業短期経済観測調査(短観、3月調査)の企業の物価見通しは、1年後が0.7%上昇、5年後が1.1%上昇にとどまる。

  英運用会社のアーカス・インベストメントの共同設立者で、日本株ストラテジストの草分けであるピーター・タスカ氏もマトゥーリ氏と同様、日銀の異次元緩和策に「出口が必要だとは思わない」との立場だ。「株式を売ることについて出口を急ぐ必要はない。2%目標から遠く、やめる必要はない」と話している。

GDP前期比年率とTOPIX型ETFの値動き
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