東京外国為替市場では円が上昇。米国によるシリアや北朝鮮への対応をめぐる地政学リスクへの警戒感から円買い優勢の展開が続いた。

  円は主要16通貨に対して全面高となっており、対ユーロでは一時1ユーロ=116円88銭と昨年11月以来の水準まで円高が進んでいる。ドル・円相場も1ドル=110円台後半から一時110円46銭と2営業日ぶりの水準までドル売り・円買いが進行した。午後4時20分現在は110円54銭前後で取引されている。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニット為替セールスチームの西田朋広主任調査役は、北朝鮮やシリア情勢、仏大統領選といった不透明感から消去法的に円が買われやすいと説明。ドル・円については「基本的に押し目買いスタンスの人も、110円割れリスクには注意が必要」と話した。 

  韓国の黄教安大統領代行は、北朝鮮が11日開催の最高人民会議や他の祝賀行事に合わせて、より重大な方法で挑発する可能性があるとし、軍と外交当局者に監視強化を指示したことを明らかにした。北朝鮮の核兵器プログラムを巡る緊張が高まる中、原子力空母カール・ビンソンをはじめとする米海軍の空母打撃群が朝鮮半島に向かっている。 

  一方、ホワイトハウス報道官は10日、シリアに対し、「たる爆弾」と呼ばれる円筒形の容器に火薬や金属片を詰めた爆弾で民間人を殺傷するのをやめなければ「トランプ大統領が対処するだろう」と警告した。シリア空爆で米国とロシアとの緊張が高まる中、ティラーソン米国務長官は11日、モスクワを訪問する。

  CIBC証券金融商品部の春木康部長は、今週はイースター休暇を取っている市場関係者もいるため、ドル安・円高方向に「突っ込む人もおらず、相場は走りづらい」が、北朝鮮をはじめとする地政学リスクに対する警戒感は高く、「ミサイル発射などが起きた場合にはリスクオフの円買いが優勢になる局面もありそう」と話した。 

  米10年債利回りはアジア時間の取引で3ベーシスポイント(bp)低下の2.33%。日本株は3営業日ぶりに反落し、日経平均株価は一時100円超下げた。
 
  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が10日の講演で緩やかな利上げペースを示唆したことも、「ドル売りにつながっているイメージ」と指摘。その上で、来週から5月にかけては日米経済対話や仏大統領選、米国の暫定予算期限など「リスク回避の円買いとドル売りになりそうなイベント」が多く、「雰囲気としてはドル・円は年初来安値の110円11銭をトライしそう」と語った。

  北朝鮮情勢への警戒が強まる中、韓国総合株価指数は6営業日続落。韓国ウォンは下落し、対円で1月以来の安値を付けている。

  一方、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.0600ドル前後から一時1.0579ドルまで軟化。23日に仏大統領選の第1回投票を控えて、左翼党メランション候補の支持率上昇で不透明感が強まっていることが重しとなった。

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