世界最大規模の公的年金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、上場株式や国債など伝統的資産と呼ばれるもの以外のオルタナティブ(代替)資産に投資するため、新たな運用受託機関を公募する。開始日は11日からで、締め切り期限は設けない。審査は6月1日から実施する。

  GPIFの募集要項によると、対象分野はファンド・オブ・ファンズ型のプライベートエクイティ(PE)、インフラストラクチャー、不動産。不動産への取り組みは今回が初めて。過去の実績では、PEは世界銀行グループの国際金融公社(IFC)に対する途上国向けの資金提供、インフラ投資は日本政策投資銀行とカナダのオンタリオ州公務員年金基金(OMERS)などと提携した外貨建て投資信託などがある。

  今回公募するPEは「多様な投資戦略への分散投資」型で、全世界が投資対象となる。インフラ投資は主に先進国を対象とする「ブラウンフィールド・コア型のインフラファンドを中心とする分散投資」型だ。不動産は主に日本を除く先進国に投資する「グローバル・コア型」と、国内を対象とする「ジャパン・コア型」の2種類としている。

  公募は委託先を常時公募する「マネジャーエントリー制」を活用。投資対象の分野ごとに一定の条件を満たす委託先候補をあらかじめ募集・選定しておき、必要に応じて委託先の追加や入れ替えを実施する仕組みだ。優秀な運用機関を機動的に採用するとともに、既存の委託先との競争を促すことで収益力の向上を図る。

  GPIFの運用資産規模は144.8兆円に上る。基本ポートフォリオでは、オルタナ資産は年金特会の短期資産も合わせた積立金全体の5%まで可能だが、昨年末には0.07%にとどまっていた。リスク資産の目標値が合計65%を占めるため、運用損益の振れ幅が大きく、価格変動の特性が異なるオルタナ資産の拡大が課題の一つとなっている。

  GPIFは2015年1月に運用部にオルタナティブ投資課を新設。高度な専門知識や経験を持つ人材を確保するための「運用専門職」を導入し、翌月から募集を始めた。昨年3月末時点のインフラ投資の残高は814億円、PEの時価総額は19億円。今年2月には三井不動産の英国子会社で社長兼欧州事業責任者を務めた山田秀人氏を採用した。

  同法人の広報責任者、森新一郎氏はブルームバーグの取材で、今回公募に踏み切った理由について、「オルタナティブ運用室を10人規模に拡充し、委託先のファンド・オブ・ファンズ運用能力を見極める能力がついたと判断できるなど体制が整いつつある」からだと説明。「引き続き慎重な運用を心がけるが、投資規模は従来より増えていくと期待できる」と述べた。 

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE