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LNGの売り手は新興国に注目、最大輸入国日本には関心薄

  • 米国や豪州での新規生産開始で世界のLNG市場に供給過剰感
  • 価格下落で中国やインドなどで需要増、FSRUに期待

石油メジャーなど液化天然ガス(LNG)の売り手は、これまで世界最大の消費国として重視していた日本を飛び越え、成長の見込める新興国の市場や新たな需要が期待できる分野に目を向けている。米国やオーストラリアで新規の生産が始まるなど、世界のLNG市場に供給過剰感が出てきていることが背景にある。

  先週、幕張メッセ(千葉市)で開かれたエネルギー分野の国際会議に出席した石油メジャー幹部の関心はコスト削減策と新規需要の開拓に集まった。コストが下がれば従来はLNGを購入できなかった新興国の需要を獲得することもできるためだ。フランスのトタルのパトリック・プヤンヌ会長兼最高経営責任者(CEO)は、LNG価格の下落で中国やインドでの需要増が確認できたとし、さらなる需要の開拓に期待を寄せた。

  世界で取引されるLNGの半分を輸入する日本や韓国、台湾。これまでは15-20年間の長期売買契約を結び、莫大(ばくだい)な費用が必要なLNG事業の開発を支えてきた。こういった国々では需要拡大が頭打ちとなっており、新たな長期契約の締結が難しくなる中、売り手側は新興国に目を向け始めた。ロシアのガスプロムのアレクサンドル・メドベージェフ副CEOは、インドやバングラデシュ、ベトナム、クウェートなどで需要拡大が見込めるとインタビューで話した。

  新興国のLNG輸入で問題となるのは信用力だ。サウジアラビアのアブドラ国王石油調査研究センターのリサーチフェロー、アン・ソフィー・コルボー氏は、アフリカでは10カ国ほどが輸入を検討しているものの「将来輸入国になれるところは一部」と分析する。新興国では、巨額の投資をしてLNGの受け入れ基地などを建設するよりも、支払いに問題があった場合に別の国に貯蔵タンクや装置ごと移動させることができる浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)の設置を検討する動きもあるという。

浮体式が需要後押し

  オランダの貯蔵タンク運営会社ヴォパックのLNG部門のキース・ヴァン・セベンター社長は、FSRUの普及が世界のLNG需要を後押しするとの期待を表明した。アジア圏では三菱商事や東京ガスなどの日本企業が、発電所などと組み合わせたLNGの需要開拓に乗り出している。三菱商事子会社ダイアモンド・ガス・インターナショナルの津軽亮介社長は、電力不足への対応でLNG輸入を急ぐ東南アジアや南アジア諸国では「FSRUが大きな役割を果たす」という。

  天然ガスの利用拡大には世界的に高まる環境規制も追い風となっている。20年に厳格化される船舶の燃料規制で、重油を燃料としてきた船舶にLNG利用が広がるとの見方があるほか、各国の環境政策によっては火力発電所の燃料として、コストの安い石炭から環境負荷の低いガスへの転換が加速する可能性もある。

電力自由化の影響

  英・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェルのガス部門のロジャー・バウンズ副社長は、日本の電力小売りの自由化で発電コストが低い石炭火力発電所の建設計画が相次いで浮上していることについて、火力発電所が排出する二酸化炭素(CO2)に税金などを課さないと「石炭が使われるだけ」との見方を示した。また、発電量が天候に左右される再生可能エネルギーの調整能力確保のためにも、ガス火力発電の有効利用を呼び掛けた。

  英BPガス部門のジョナサン・シェパード最高執行責任者(COO)は、日本を含めた既存の輸入国で電力市場の自由化が進むことを踏まえると、「新規LNG事業の開発を支える能力がどこから来るのか不透明」と指摘。新規や既存のプロジェクトからLNGを引き取り、トレーディング数量を増やす考えを示した。

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