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日本株続伸、イベント通過後の円軟調を好感-過度な地政学警戒薄れる

更新日時
  • 自動車など輸出株、鉄鋼など素材、金融セクター中心広く買い
  • 日経平均186円高後は上値重い、北朝鮮リスクはくすぶる

10日の東京株式相場は続伸。米国の雇用統計や米中首脳会談後の為替市場で円高の勢いが一服、企業業績の先行き不透明感が後退した。シリア情勢に対する過度な警戒も和らぎ、自動車など輸出株、鉄鋼など素材株中心に高い。米長期金利の上昇を材料に銀行、保険など金融株も買われた。

  TOPIXの終値は前週末比9.88ポイント(0.7%)高の1499.65、日経平均株価は133円25銭(0.7%)高の1万8797円88銭。

  アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最高投資責任者は、「米雇用統計の雇用者数では弱めの数字が出ているものの、天候による一時的要因としてマーケットは額面通りに受け止めていない」と指摘。米国が完全雇用に近づいているという解釈なら、「賃金は上がる方向で、金利先高観は残る」と話した。重要イベントを通過し、「さえない米指標もそれなりに織り込まれたことで、今週の日本株は底堅い動きになる可能性がある」とみている。

Japan's Nikkei Jumps Most Since May

東証内

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  米労働省が7日に発表した3月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比9万8000人増とエコノミスト予想の18万人増を下回った。調査期間に北東部が大雪に見舞われたほか、季節外れの暖かさとなった2月の後で、3月が平年並みの気温になったことも影響した可能性がある。一方、家計調査に基づく3月の失業率は4.5%と前月の4.7%から低下、2007年5月以来の低水準となった。

  きょうのドル・円相場は、一時1ドル=111円50銭台と7日の日本株終了時点110円44銭からドル高・円安方向に振れた。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、当局のバランスシート縮小開始後に短期金利の正常化を休止した場合、その休止期間は極めて短いものになると強調。7日の米10年債利回りは上昇し、週明け10日の時間外取引でも安定推移した。

  きょうの日本株は、地政学リスクに揺れた前週末の反動が出た面もある。「マーケットは米国によるシリア空爆の影響が長引かないと考えており、基本的にネガティブ反応はしていない」とアリアンツの寺尾氏は言う。北朝鮮情勢も、「テールリスクの高まりとしてイメージしているが、直ちに軍事衝突などが起こるということまでマーケットは想定していない」とした。ティラーソン米国務長官は9日、米国には北朝鮮のレジーム・チェンジ(体制転換)に関心がないと述べた。

  このほか、日本アジア証券の清水三津雄エクイティ・ストラテジストは今週から本格化する米国企業の決算発表に注目。「1-3月利益は前年同期比10%増が予想される。日本企業も16年度は悪くなく、17年度はグローバル景気回復による輸出増加の影響が表れてくる」とし、市場の視点は「日米の良好な企業業績などファンダメンタルズに移るだろう」との見方を示した。

  もっとも、日経平均は午前に一時186円高まで買われた後は伸び悩み。東洋証券の大塚竜太ストラテジストは、「北朝鮮は11日に最高人民会議開催、15日に金日成国家主席の生誕105周年を控え、週後半にかけ地政学リスクへの懸念は残る」としている。また、セントルイス連銀のブラード総裁は、3月の米雇用統計は非農業部門雇用者数に基づくと「予想より若干弱かった」とし、米経済はわれわれが望むほど強くないとブルームバーグテレビで語った。

  東証1部33業種は鉄鋼や銀行、その他金融、非鉄金属、保険、機械、輸送用機器など27業種が上昇。水産・農林、鉱業、食料品など6業種は下落。売買代金上位では、米社と創薬共同研究開発契約を結んだペプチドリームがストップ高。マッコーリーキャピタル証券が投資判断を上げたタダノも急伸、東芝やSUMCO、セブン銀行、IHIも高い。半面、18年2月期営業利益計画が前期比8.4%減の久光製薬は急落し、塩野義製薬やコカ・コーラボトラーズジャパンも安い。

  • 東証1部の売買高は17億3234万株、売買代金は1兆9300億円、代金は前週末に比べ3割減少した
  • 値上がり銘柄数は1405、値下がりは504
    日経平均ボラティリティ指数の推移

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