ヘッジファンド業界の苦戦で、富裕層一族の資産を預かるファミリーオフィスにとって投資先がよりどりみどりという状況が出現している。

  リターン低迷で年金基金などの機関投資家がヘッジファンドへの投資を考え直す中で、ファンド業界の顧客としてファミリーオフィスの重要性が高まった。おかげで柔軟な手数料や特別注文の投資サービス、著名運用者へのアクセスなど、便宜が増している。

  JPモルガン・チェースのプライマリーブローカー部門のキャピタルイントロダクション責任者、アレッサンドラ・トコ氏は「ファミリーオフィスに対するヘッジファンド運用会社からの関心は伝統的な水準に戻っている」と話す。ヘッジファンドという業態を最初に誕生させたのはそもそも富裕層だが「このセグメントが再び、ヘッジファンドが獲得したい大切な顧客層になった」と同氏はコメントした。

  2016年は金融危機以降で最もヘッジファンド閉鎖が多いという業界受難の年だった。今年も1-3月(第1四半期)の業界平均リターンはS&P500種株価指数を下回り、エリック・ミンディッチ氏のような著名運用者がファンド閉鎖を決めるなど、厳しい状況が続く。

  一方、金持ちとその資産が増える中でファミリーオフィスは増殖している。クレディ・スイス・グループの2016年グローバル・ウェルス・リポートによれば、資産5000万ドル(約55億3300万円)超の資産家の数は2000年の3倍になっている。10億ドル超の億万長者の数は昨年2000人余りと5年前の1000人程度から増えていた。

  ヘッジファンド、ワクスフォード・キャピタルのパートナー、リチャード・シャピロ氏は「今はかつてなかったほど多数のファミリーオフィスがある」と話す。ファミリーオフィスは富裕層一族のために投資ばかりでなく税金から休暇の計画、住宅購入までとさまざまな個人的あるいは金銭面の問題を処理する。多数の年金基金がヘッジファンドへの資金配分を減らしたりこの資産クラスへの投資をやめたりする中で、ヘッジファンド業界が富裕層に向かって大きく門戸を開くのは当然の成り行きだ。

  カンタベリー・コンサルティングで富裕層一族にアドバイスするJD・モンゴメリー氏によれば、新規投資家からの資金を厳密に制限したり受け入れを拒否していたようなファンドが今は投資を受け入れるばかりか場合によっては最低額を引き下げたりしている。そのほか、ポートフォリオにレバレッジを利かせるなどの特別な投資条件を提供したり、運用報酬を徴収できる最低リターンを設定するなどの譲歩を、ファミリーオフィスの投資責任者らはヘッジファンドから引き出しているもようだ。  

原題:Hedge Fund Strife Gives Rich Families New Swagger With Managers(抜粋) Pfd

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