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円全面高、米国のシリア空爆でリスク回避-米中首脳会談を注視

更新日時
  • 買い一巡後は、株や米金利持ち直しで伸び悩む
  • 北朝鮮問題含め地政学リスクを警戒、米雇用統計の「質」にも注目

7日の東京外国為替市場では円が全面高。米国によるシリア空爆を受け、リスク回避の動きが強まった。

  米国は6日、シリアへの空爆を開始したと発表した。シリアのアサド政権が化学兵器を用いて多数の民間人を殺害したことで国際的非難が巻き起こり、トランプ大統領は「人道とはかけ離れたものだ」と批判していた。

President Trump Meets With Jordan's King Abdullah II At The White House

トランプ米大統領

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨全てに対して上昇。ただ、条件反射的な買いが一巡した後は、日本株の持ち直しや米長期金利の下げ渋りに伴い、円も上昇を削る展開となった。

  ドル・円は1ドル=111円ちょうど付近から一時110円13銭と3月27日以来の水準まで円高が進行。午後4時19分現在は110円53銭前後となっている。

  大和証券投資戦略部の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、ドル・円の急落や米長期金利の2.3%割れについて、「動いているのはアルゴだけ。いったんこの辺りで止まっても良いと思うが、動きが激し過ぎる」と指摘。これで米連邦準備制度理事会(FRB)の政策が変わるわけでもないとし、「全面的な戦争というのは考えづらく、単に限定的な警告を発したということだろう」と話した。
  
米国のシリア空爆の記事はこちらをご覧ください

米シリア空爆で円急伸

  7日の東京株式相場は乱高下。午前10時過ぎに米シリア空爆開始が伝わり、一時下落に転じたが、午後にはプラス圏に浮上した。日経平均株価は79円安まで下げた後、再度上昇し、67円高で取引を終えた。

  米10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.32%程度。質への逃避から一時は昨年11月末以降のレンジの下限だった2.3%を割り込み、2.287%まで低下する場面が見られた。 

  円は対オーストラリア・ドルで昨年11月以来初めて1豪ドル=83円を突破し、一時82円80銭前後まで上昇。対ユーロでも1ユーロ=118円台前半から117円32銭と同11月以来の高値を更新した。

  スコシアバンクの通貨ストラテジスト、高奇氏は、市場は政治リスクやイベントリスクに一段と注意を払うことになるため、リスク回避の取引になり、そのような状況では新興市場通貨が下げる一方、「円などの安全通貨は高くなる可能性がある」と指摘。「これが条件反射的な反応になるのか、中期的なトレンドになるのかはシリアと北朝鮮情勢がどのように推移するか次第だろう」と話した。

  インタファクス通信は、ロシアのプーチン大統領が米国によるシリア空爆は「主権国家への侵略」であり、米ロ関係に「相当大きなダメージ」を与えるともに、テロと闘う国際的な同盟を形成する上で深刻な障害になると考えている、との大統領府のペスコフ報道官の発言を報じた。

米中首脳会談に注目

  一方、米国ではトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の初めての会談が始まった。トランプ大統領は6日午前のFOXニュースとのインタビューで、会談は「非常に面白くなる」とし、米国は中国に「ボールを投げていく。われわれは非常にうまくできると思う」と話した。大統領は「ずっと以前から、米国の貿易は不公正な扱いを受けてきた」とあらためて言明。「北朝鮮とも大きな問題を抱えている」と述べていた。 

  IG証券の石川順一シニアFXストラテジストは、「オバマ前政権よりも積極的に軍事介入してきたということで、同じことが今後北東アジアを含めて起こる可能性はある」とし、北朝鮮問題をめぐる「米中の思惑は非常に重要なファクターになる」と話した。

米中首脳会談に関する記事はこちらをご覧下さい。

  この日は3月の米雇用統計も発表される。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、非農業部門雇用者数は18万人増の予想。2月は23万5000人増だった。失業率は2月と同じ4.7%、平均時給は前年同月比で2.7%増(2月は2.8%増)が見込まれている。

  IG証の石川氏は、雇用統計では賃金がどこまで上がっているか、「質の改善」がポイントで、「リスク回避圧力が強まった場合の相殺要因になるかが注目」と指摘する。

  一方、しんきんアセットマネジメント投信運用部の加藤純主任ファンドマネージャーは、地政学リスクが強く意識されている状況の中、「ドル・円は111円の回復がなければ、下値リスクの高い状況が続きそう」とし、「米雇用統計はよほど強い結果にならなければ、戻りは続かない」とみている。   

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