米国は6日、シリアへの空爆を開始したと発表した。シリアのアサド政権が化学兵器を用いて多数の民間人を殺害したことで国際的非難が巻き起こり、トランプ大統領は「人間性を踏みにじる行為」と批判していた。

  トランプ大統領は同日夜、中国の習近平国家主席を迎えたフロリダ州の別荘で記者団に対し、「今晩、私は化学兵器による攻撃拠点となったシリアの空軍基地に対し、限定的な軍事攻撃を指示した」と発言。さらに「致死的な化学兵器の拡散と使用を予防・阻止することは、米国の国家安全保障にとって極めて重要な利益だ」とした上で、「シリアが禁止されている化学兵器を使ったことは疑いの余地がなく、化学兵器禁止条約に違反した」と説明した。

トマホークを発射する米ミサイル駆逐艦「ポーター」(7日、地中海上で)
トマホークを発射する米ミサイル駆逐艦「ポーター」(7日、地中海上で)
Photographer: Ford Williams/U.S. Navy via AP

  ロシアのサフロンコフ国連次席大使は米空爆前に、「米国のいかなる軍事行動も否定的な結果をもたらす」と述べていた。

  米国防総省によれば、シリア時間7日早朝の空爆の対象になったのは、シリアのシャイラト空軍基地の格納庫や軍用機、燃料タンク、防空システム。地中海に展開していた米海軍駆逐艦2隻からレイセオン製の巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射した。

  米軍の戦略担当官らの任務は、アサド政権の反政府勢力掃討を支援するためシリア国内に駐留するロシア軍の存在によって、より高いリスクにさらされている。国防総省のデービス報道官によると、米国は攻撃開始に先立ちロシアに通告し、空軍基地のロシアあるいはシリア人へのリスクを最小限にするよう予防措置を講じた。

  上院外交委員会の民主党筆頭理事、ベン・カーディン議員はシリア空爆について、「化学兵器使用を禁じる国際規範や規則を守るために米国は立ち上がるという明確なシグナルだ」と声明で述べた。ただ、「トランプ政権がシリアでの軍事作戦を長期化するか、規模を拡大するためには米議会と連携する必要があろう」と指摘した。

  アサド政権への軍事行動を以前から主張していた共和党上院議員のジョン・マケイン、リンゼー・グラム両氏は、アサド政権がプーチン大統領のロシアから支援を受けて無実のシリア市民を化学兵器で殺害し、空爆するのを米国はもはや傍観しないという重要なメッセージを送ったと表明した。

  ティラーソン国務長官は空爆後、ロシアがアサド政権を支援していることを批判。シリア国内から化学兵器の備蓄を一掃するはずだった4年前の米ロ合意の取り決めを守っていないと指摘した。

シリア空爆後、フロリダ州で発言するトランプ米大統領(6日)
シリア空爆後、フロリダ州で発言するトランプ米大統領(6日)
Bloomberg

  同長官はトランプ大統領に続き、記者団に対し、「ロシアは2013年の確約実行を怠っている。従ってロシアはシリアに加担したか、あるいは実行する能力がなかったかいずれかだ」と語った。また他の中東諸国の政府は米国の行動を支持していると説明した。

  トランプ大統領は昨年の選挙戦中、過去の米大統領が中東紛争に巻き込まれたことを批判していた。しかしトランプ氏は今週に入って、今月4日のシリアの攻撃で多くの子供が犠牲になったことについて、「一線を超えた」と表明。これをきっかけに考えをあらためた。

  ティラーソン長官はこの日の空爆前にフロリダ州パームビーチで、外部団体がサリン使用の疑いがあるとしたシリアの攻撃に関し、「重大な問題であり、本格的な対応が必要だ」と語っていた。また、同盟を動員してシリアのアサド大統領を退陣させるための「措置が進行中」だが、そうした取り組みは同国で過激派組織「イスラム国(IS)」を打破し、同国が多少の安定を回復した後になる可能性が高いと発言した。

  国務省当局者は6日午後、ティラーソン長官は12日のロシア高官との会談のため、予定通りモスクワを訪問すると述べた。訪問中、プーチン大統領との会談も予定されている。

原題:U.S. Launches Missile Strike on Syria in Response to Gas Attack(抜粋)

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