4月2週(10ー14日)の日本株は5週ぶり反発が予想される。短期的な下落によって日本株の割安感が強まっており、ファンダメンタルズ面から徐々に見直し買いが入りそう。ただ、シリアなど地政学リスクを背景とした円高警戒は引き続き上値の重しとなる。

  2週はマクロからミクロへやや市場の関心が移り、ファンダメンタルズの良好さが再認識される可能性がある。米国では月初の重要経済指標が一巡し、13日にはJPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴ、シティグループなどの企業決算発表が予定されるなど、決算シーズンが次第に本格化してくる。雇用などの改善から米景気指標はおおむね良好だけに、堅調な企業決算が確認されれば金融市場のサポート要因となりそうだ。

  また、足元の株価調整により、日経平均株価のPER(暦年ベース)は6日時点で16.3倍と、米大統領選の結果が判明した2016年11月9日(16.2倍)にほぼ並ぶ水準まで急低下した。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオが6日にことし最低を更新するなど、トランプラリーによる一時の株価過熱感も払拭(ふっしょく)されつつある。米政策期待の後退を株価は徐々に織り込みつつあるだけに、株価の割安感からの買いも入りやすいと想定される。

  一方、シリアのアサド政権が化学兵器を用いて多数の民間人を殺害したことを受け、米国は6日にシリアへの空爆を開始した。今回は限定的な軍事攻撃にとどまったものの、軍事衝突の拡大や米国とロシアの関係悪化、それに伴う北朝鮮問題の深刻化などが懸念されることで有事の円買いが起こりやすい状況にある。金融市場への長期的な影響を懸念する向きは多くないものの、状況はなお流動的であることから円高警戒は日本株の上値の重しとなる。米政策期待の後退などから第2週の日経平均株価は週間で1.3%安の1万8664円63銭と、4週連続で下落。

≪市場関係者の見方≫
明治安田アセットマネジメントの杉山修司チーフストラテジスト
  「ボラティリティは高いながらも、堅調となりそうだ。シリアは目立った産油国ではないことから米空爆による原油価格へのインパクトは少なさそう。過去の経験則からも株価の中期的なトレンドを形成するのは地政学リスクではなく、ファンダメンタルズだった。FOMC議事録は財政政策を織り込んでいない状況下で景気上振れリスクをより意識した内容であり、米ハードデータは企業や家計のソフトデータに追いついてくるだろう。米長期金利とドル・円相場はこのところのレンジの下限にあり、チャート上からもダブルトップを形成、米中会談後は落ち着きを示す可能性がある」

三菱UFJ国際投信・戦略運用部の向吉善秀シニアエコノミスト
  「日経平均1万9000円前後を目指しそう。景気指標が強い中、資金需要拡大や長期金利の安定から米金融株の1-3月決算は悪くないだろう。強めの米企業決算でファンダメンタルズの良さを確認すれば、株式市場にはポジティブ。米国のシリア空爆はロシア側の出方などをみる必要があるが、世界経済や米景気の失速につながらない限り、一時的な調整にとどまる可能性が高い。日米とも景気循環は上、米中首脳会談などを通過すれば、市場の関心はファンダメンタルズに移る。日経平均の予想PERは一時16倍を超えていたが、15.2倍まで低下し、過去3年ほどの平均15.5倍を下回るまで調整が進んだ。景気サイクル上向きの中、15倍以下が定着する状況ではない」

セゾン投信の瀬下哲雄ポートフォリオマネジャー
  「トランプ米政権の政策不透明感が引き続き円安の妨げになり、軟調を予想している。米国の政策停滞で失望感が強まれば、景気が良くても米長期金利は2%程度まで低下する可能性があり、意識すべきはトランプラリー始動時の1.8%。米金利の下押し圧力で円安シナリオは描きにくく、1ドル=110円程度では輸出企業中心に来期の業績期待は広がらない。世界で不確実性が高まる中、シリアなど地政学リスク、仏大統領選などテールリスクを意識、短期的には企業業績などファンダメンタルズ以上に市場を動かす材料になりそうだ。経済指標では14日の米消費者物価指数に注目。予想を下回る伸びにとどまると、景気回復鈍化を連想させ、ネガティブに反応しよう」

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